「誰かにとっての安心材料になるんじゃないか」なぜ自身の発達障害を公表したのか?

――発達障害を公表しようと思ったのはどうしてだったのでしょう。

カメントツ 『こぐまのケーキ屋さん』という漫画を描いていた2017年頃は、子どもの発達障害がすごくネガティブに捉えられていたように思うんです。

 だからこそ「発達障害があってもボチボチやっているよ」と僕が発信することで、誰かにとっての安心材料になるんじゃないかなと思って、公表することに決めました。

ADVERTISEMENT

――当時発表した『こぐまのケーキ屋さん』は、SNSでバズりにバズっていましたね。

カメントツ 元々、友達を元気付けるために描いた漫画だったんですよね。そうしたら友達がすごく喜んでくれて。せっかくだからとペン入れもして、「いつも描いている作風と全然違うから、読者の人がびっくりするだろうな」と思ったのでTwitterに載せてみたところ、10万リツイートくらい反響があって驚きました。

 でも『こぐまのケーキ屋さん』を描いている時は、読者の方から「子育てをしている女性」だと思われることが多くあったので、困惑する部分もあったんですけど(笑)。

――カメントツさんの生い立ちや、辛い思いをしてきたことが、自身の人生観や漫画に影響を与えていると思いますか。

カメントツ かなり影響していると思います。家でも学校でも、辛いことがあった時は耐えて、脳内の妄想の中に逃げ込むことが得意だったんですね。

 空想上の友達を作って脳内で物語や展開の山場を作ったり、昔見た映画を思い出して頭の中で再生したり。そういう逃避の癖が、今の漫画の物語や構成を作るベースになっているなと感じます。

 あとは過剰適応の特性が強いので、人の顔色を過剰に窺ってしまう部分もあるのですが、逆に飲み会とかだと「あ、この人はあまり会話に参加できていないかも」と気が付いてフォローをしたり気が遣えたりする強みにもなっています。良くも悪くも、特性や経験してきたものすべてが今の自分に影響していると思いますね。

 

「一般の読者側の感覚」を思い出させてくれる妻

――カメントツさんは3年ほど前にご結婚されたそうですが、何かご自身に変化などはありましたか。

カメントツ めちゃくちゃあります。漫画家としてプラスなことしかないんですけど、一番大きかったのは、妻が『ガンダム』を知らなかったことなんですよ。

 妻は年間を通して本を1~2冊買うかどうかで、生活環境に本棚もなく、ジブリも見たことがない作品がたくさんあるくらい、僕とは全然違う「マニアックじゃない世界」の人で。

 そこで気が付いたんですけど、僕の中で、読者のイメージ像がどんどんカルチャー的な、マニア的な人たちに寄って行ってしまっていたんですよね。

 だから妻という存在が、僕が忘れていた「一般の読者側の感覚」を思い出させてくれるといいますか、世界と自分を繋げてくれているなと強く感じます。