「僕はトラウマの影響で、女性の大きな声が苦手なんですね。だから…」パートナーに共有していること
――パートナーはどんな性格の人なのでしょうか。
カメントツ まったく違う業界の人なのですが、コミュニケーション能力がすごく高くて、気が合って楽しい人です。
あとは、僕が苦手なこと、例えば役所に行って書類を書くとか事務作業とかが向こうは苦じゃないし、逆に向こうが苦手な料理や洗濯、お掃除が僕は苦手ではないので、良い関係性だと思います。
――カメントツさんのトラウマや特性についても、パートナーに共有をしているのでしょうか。
カメントツ 共有していますし、ありがたいことに、そのあたりに関してはすごく理解して工夫するなど対応してくれています。
例えば、妻が食事を作ってくれた時に、1階から2階にいる僕に向かって「ごはんできたよ」と知らせてくれるんですが、僕はトラウマの影響で、女性の大きな声が苦手なんですね。
だから「もし良ければ、連絡を入れてもらえるか、呼びに来てもらえないか」と相談したら、すごく前のめりに改善をしてくれて。そういう風にしてくれる人だから、とても助かっています。
しんどければ「早く逃げて、次のゲームを始めるべき」
――最後に、家族の問題や学校の問題、生きづらさなどを抱えている人に向けて何かメッセージをいただけると嬉しいです。
カメントツ 辛い目に遭っている人や、しんどい思いをしている人をその場所に留めようとする人たちの言うことは、完全に無視して良いと思います。
それは親だったり上司だったり同級生だったりすると思いますけれど、あなたをそこに留めることにインセンティブのある人だと思うんです。
「どんな人生も配られたカードで勝負しなきゃいけない」とよく言うじゃないですか。でもそれは、ポーカーで言うと違うカウンターに座っている人の意見なんですよね。
弱い札が出たら勝負を降りるのが一番正解だし、逃げるのが一番良いわけで。そこで「大金を積め」という周りのプレッシャーに負けて、大損することはないと思うんです。
早く逃げて、次のゲームを始めるべき。良い人生を送りたいのであれば、絶対に悪い手札からは逃げるべきだと個人的には思っています。
親ガチャとか、環境ガチャみたいなものってあると思うんですけど、そういうもので「一生懸命勝負をしなきゃいけない」というバイアスは無視した方がいいなと僕は思います。
環境を変える努力や調べる苦労は大変だと思いますけれど、この国には逃げてきた人に対するサポートも思いのほかたくさんあります。僕が今、わりと軽く「暴力を受けていました」と話すことができるのも、完全に悪い手札から逃げ切れているからだと思うんですね。
だからまずは逃げて、もしも逃げられたとしたら、今度はまた同じように逃げたがっている人の手助けをするとか、そんなふうに社会全体でいい連鎖を作っていけたらなと思っています。
撮影=杉山秀樹/文藝春秋
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

