2019年の「池袋高齢者暴走事故」。沈黙を貫いていた加害者の飯塚幸三氏に対し、TBS記者の守田哲氏は突撃取材を敢行。事故をどこか「他人事」のように語るその姿を捉える。
だが、その“スクープ映像”の放送がもたらしたのは凄まじい波紋だった。地上波放送後、ネットには「なにこいつ被害者面してんの」と激しい批判が殺到し大炎上。「社会的に殺してしまうかもしれない」という恐怖を抱えた記者と、「聞いていた話と違う」と危機感を募らせる飯塚の長男――。
同事件が日本中から注目を集めた背景を、TBSテレビ守田哲氏の新刊『池袋高齢者暴走事故 遺族と加害者家族の2060日』(文藝春秋)よりお届けする。(全2回の2回目)
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反論できないストレス
事故直後に息子に電話したという記事については、「何でそういう報道になっちゃったのか」と疑問を呈した。
「事故をもみ消そうとした」との批判に対しては、「決して事故をもみ消すようなことを、手配するなんてできるわけもない」と顔を歪ませた。反論できないストレスが溜まっているのだろうか。
飯塚が私の目を見て話したのは2回だけだった。
1回目は事故後に体調が悪化してつらいと訴えたときだ。確かに実況見分のころより足は衰えていた。2回目は自分は謝罪の気持ちを持っていることを被害者に伝えてほしいと言ったときだった。「これだけはわかってほしい」という懇願のように感じた。
