最初は「寛大な姿勢」を示していた被害者も…

 東京地検の担当検事と密に連絡を取り合い、石橋を叩きながら捜査を進める局面もあった。地検交通部の副部長も会議に参加し、捜査指揮を行った。

 特筆すべきは、関係者の捜査への協力姿勢だ。一部をのぞき、ほとんどの関係者が「遺族のため」「加害者を許せない」などを理由に積極的に事情聴取に応じた。

 当初、「自分は命があるので、運命に恵まれている」として、飯塚に寛大な姿勢を示していたある被害者は、飯塚の否認を聞いて厳しい処罰感情に転じた。

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 警視庁は松永をはじめとする被害者の感情を尊重し、特に署名活動などの動向をかなり細かく記録に残している。そこには、松永や被害者の無念を晴らそうという意志があった。また、飯塚からすれば、誘導される場面もあったが、私は、踏み間違いに関する実況見分などからは、何とか理屈で納得させようという強い意志を感じた。

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 たとえば、飯塚の以下のような発言に対しても、警視庁は淡々と応じた。機能実験で車が正常と認定されたことに対するコメントだ。

「昔のブラウン管のテレビは故障しても叩けば直ることもありました。車は一旦異常な状態になり、ごみ収集車に衝突して正常に戻ったんだと思います」

 また、警視庁は飯塚の長男に対して一定の敬意を持っており、何より最大の難所は、両者が巨大な世論という「ヤマ」とどう向き合っていくかということだった。