――それは絶対に突破できなさそうです。
碓氷 解答例と同じことを言っているのに、語尾が違うとか別の言い方をしているとかだけではねられたら一生正解できません(笑)。
流石に私もおかしいなと思って、母が買い物に出た隙を狙って解答を盗み見たんです。「~だから」が「~のため」になっているだけでバツにされていたんだと気付いてからは、答えを写して提出するようになりました。母もうすうす勘付いていたのかもしれませんが、最後までしらばっくれましたね。
――厳しい管理も小学生の頃から始まっていたんですか?
碓氷 当時は高圧的だったくらいで、そこまで厳しすぎることをされていた印象はありません。ただ1つだけ、その後を予感させるような事件がありました……。
――というと?
碓氷 私は小さい頃から小説が大好きで、本を買ってくれる家庭だったこともあって手当たり次第に買いまくっては読み漁っていました。
ただ、読んだ本は部屋に置いておかずリビングの本棚に戻さなくてはいけないルールがありました。でもある日1回だけ、面倒くさくて自室の机の引き出しに入れてしまったんです。するとなぜかその日に限って机を抜き打ちチェックされて、小説を本棚に戻していないのが見つかりました。
3日間にわたって無表情で無機質な声で娘を責め続ける母親
――母親はどういう反応を?
碓氷 大激怒です。しかも母の怒りは連続して数日続きます。その間はずっと横で謝り続けないと機嫌が直らない。だから怒らせないようにしていました。
小説が見つかった時も「勉強をさぼっているんじゃないか」と疑われてしまうと厄介なので、言い訳をしたんです。でもこれがまずくて、ずっと立たされて怒られました。
――どういう怒り方なのでしょう。
碓氷 無表情で無機質な声で私をずっと非難するんです。私はそれに対して、母が何を言っても「はい。すみませんでした。申し訳ありません」と繰り返すしかない。口答えをしたらその時間が伸びるわけですから、これが一番早いんです。その状態が3日間続きました。