「スマホは持っていけない。最寄り駅へ来てほしい」と逃走を決意したが…
――突発的な家出だったんですね。
碓氷 母の生活習慣が読みやすかったのが決め手でした。22時に挨拶をして寝たら、母は朝までまず起きない。その隙を見計らって友人に「今日逃げる」と連絡しました。スマホは没収されてリビングにあり、取りに行くと母を起こしそうだったので諦めました。
部屋のパソコンから、足がつかないようにLINEではなくXのDM機能を使って「スマホは持っていけない。○時に最寄り駅へ来てほしい」と打ち込み、普段使いのスクールバッグにパソコンと眼鏡、着替え、お気に入りの服だけ詰め込みました。もう二度と戻ってこない覚悟だったので、未練があるものをできるだけ持ち出しました。
――緊張感が伝わってきます。無事に逃げられたのでしょうか?
碓氷 22時を少し過ぎたころ、駅で友人と合流できました。友達の家に避難させてもらっていたら、23時頃に当時いちばん仲が良かったAちゃんからDMで連絡が来ました。母が私のスマホで「うちの娘がいません。どこに行っているか知りませんか」と探りを入れられた、と。
――すでに探しはじめていた。
碓氷 Aちゃんには母のヤバさをいつも話していたのでとぼけてくれたのですが、母に「娘は自殺しに行ったのかもしれない」と言われて、泣きながら連絡をくれました。友人の気持ちに感謝しましたが、クソ親に巻き込んでしまったことを、心から申し訳なく感じました。
――母親はその後どうしたんでしょう。
碓氷 母が夜のうちに警察に通報して、捜索願を出したとAちゃんから聞きました。翌朝には「このまま居場所を教えてくれないなら、全国報道にします」と言われたと聞いて、卑劣な脅しにはらわたが煮えくり返る思いでしたが、Aちゃんにこれ以上迷惑をかけるわけにもいかず、「この後交番に出頭しますので、何もしないでください」と母に伝えてもらいました。
――捜索願を出されたらどうしようもないですよね。
碓氷 交番までは、友達がみんなついてきてくれました。警察官が2人いて「すみません、私、捜索願を出されているものなんですが」と声を掛けたら、2人ともあたふたし始めました。
――警察官も驚いたでしょうね。
碓氷 1人が警察署本部に電話してるあいだに、もう1人が私に質問を始め、そうこうしているうちにパトカーが迎えに来て警察署へ送られることになりました。でもその時私はスマホもお金も持っていなくて、警察署から家へ帰ることもできない状態でした。
それで、関係者ではない友人たちはパトカーに乗せてもらえないのに、歩いて警察署までついてきてくれました。
