――わかります。

のん 普通、自己顕示欲というか承認欲求が生まれますよね!? でも、安田さんはまったくそれがないんです。

――超然としていらっしゃいますね……。確かに「神の使い」かもしれません。

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のん そうなんですよ。生きとし生けるものの悪いところ、善いところ、すべてを受け止めていらっしゃるので。

――そんな安田さんが演じた大貴と生きる世界は、特別なものだったでしょうね。

のん これまでにない、とてもやさしい空間でした。安田さんがいたから乗り越えられたなとあらためて思います。本当に足を向けて眠れません。心の支えでした。

(撮影=小見山峻)

自分の「好き」を見失ったら、何のために生きているんだろう

――大貴とのシーンで、もっとも心に残っているのは?

のん たくさんありますが、やっぱり「おあいこ」の場面でしょうか。希と大貴が「お荷物同士で二人はおあいこ」、と確かめ合う。希が「大貴が問題を起こすたび面倒くさいと思っていた」と吐露したり、お互いに複雑な感情が行き交うシーンで……。だけど、そこに“家族”を感じるんです。家族って、憎らしさばっかりになる時もあれば、愛おしくなる時もある。それが凝縮されたやり取りだなと思います。

 それに、希は大貴から「お荷物だ」と言われたあの瞬間、「ちゃんと自分のことを認識してくれていたんだ」「きょうだいでいてくれるんだ」というのを、一気に理解したと思うんですよね。安田さんが演じる大貴の表情が、とてもとても繊細で、希に気持ちをぶつけられて悲しみながらも励ましてくれているのが伝わってきて……。慈愛を感じて、すごく、やられました。

――あのシーンは、観ている側としても込み上げてくるものがありました。きょうだいの姿を通じて、弱さを認め合い支え合う「おあいこ」精神を、個人の関わりにおいても社会においても忘れてはならないな、と感じました。

のん そうですよね。その意味でも、とても素敵な映画だと思います。

――のんさん自身は、この社会を生きていくうえで何を一番の支えとしていますか?

のん 「好き」ですね。