「カネの循環」

 である。

「自分の声によく似ているが、記憶にない」

 議長になる過程でカネが動いたという告発。その一方で、議長になれば就任パーティーにカネが集まり、そのパー券を県職員側も組織的に購入していた。本来、県議会は県庁をチェックする側のはずだ。それなのに両者はカネまで介してつながっていた。いったい何なんだ、この構図は。

ADVERTISEMENT

 録音音声も登場した。中尾正幸副議長(当時)は当初、

「自分の声によく似ているが、記憶にない」

 と説明した。

中尾前副議長

 ところが声紋鑑定では、99.99%以上の確率で中尾氏の声だとの結果が出た。その後は、

「自分の声でも受け取っていない」(7月14日付)

 と主張した。ああ、迷言製造機だ。

 一方、告発した吉松氏についても、なぜ自民党にいたときに声を上げなかったのか、なぜもっと早く言わなかったのかと思う。権力闘争ではないのかという見方が出るのも理解できる。ただ、それも含めて浮かぶのは、なぜこうした話が長年表に出てこなかったのかという疑問だ。結局ここでも「慣例」と力関係の問題に戻ってくる。

 疑惑が広がるにつれ、「福岡県議会のドン」の足元も揺らぎ始める。8月。金銭授受疑惑が広がり、吉松氏から議長辞職勧告決議案まで提出された。そんななか、藏内氏は、

「私が先頭に立って、議会改革を前に進めてまいります」(8月14日付)

 と宣言した。

 8月17日の臨時会では、採決中止を求める緊急動議が出され、辞職勧告決議案の採決は見送られた。その動議を出したのは、藏内氏の元秘書だった。

 しかも、話は自民党だけではない。第2会派「民主県政県議団」でも、副議長経験者2人が「金銭を支払った」と匿名で証言。それでも辞職勧告をめぐって20人が10対10に割れ、会派は三つに分裂した。会派内からは「自民と同じ穴のむじなだと思われるようになった」という声まで出た。