「マラソン研」を立ち上げた
――体力をつけるために、ジョギングを日課にしているそうですね。
久保 もう15年ぐらいになります。30代半ばにどんどん太ってしまい、正座でしびれてすぐに立ち上がれなかったんですよ。それじゃだめだと思って、走り始めました。最初の距離は5キロぐらい。そのうち「マラソン研」というのを立ち上げました。研究会の開始が朝10時。そこから3局指して、今度は夕方に10キロをみんなで走ります。
――将棋を指して疲れているはずなのに、さらにマラソンとはすごい。健康的な研究会ですね。
久保 最後にビール1杯を飲んで終了なので、あまり意味がないけど(笑)。
――いまはマンションの階段の昇り降りも取り入れていると聞いています。
久保 ええ、雨の日や暑い日は走れないので、その代わりです。有酸素運動のマラソンに比べて、階段の昇り降りは無酸素運動で足の筋肉を鍛えるのにいいと聞きましたし。
――同じ部位でも、負荷のかけ方で鍛えられる筋肉の種類が違うので、多角的な刺激で体力を増強する効果がありそうですね。対局のスタミナや考える体力は、運動の体力とはまた違う別の次元にありそうですが、その辺りはどう考えていますか。
久保 脳と体のスタミナは違うものでしょうね。私の運動もやらないよりはやったほうがいい、できることをやろうっていう感じです。
正直にいえば、自分のやっていることに意味があるのかないのかもわからない。モヤッとしたなかでの戦いなので、最後は自分のやっていることが正しいと信じられるかどうかだけだと思います。迷うと集中さえできません。
深夜まで続いた大激戦
――昨年8月の順位戦B級2組・鈴木大介九段戦は、22時34分に持将棋(引き分け)が成立し、指し直し局開始が23時4分、終局は日付が変わって1時25分と大激戦でした。
久保 ホテルに着いたら3時近くでした。鈴木九段と一緒に帰ったんですけど、「名古屋対局で夕食休憩を超えたことがほとんどないんだけど」といっていましたよ(笑)。小学生からしのぎを削ってきたので、私が相手だと気合が違ったのかもしれませんね。
あの日は本当に疲れました。対局中は頭がすっきりしているんですけど、終わった瞬間に疲れがドッときますね。
――鈴木九段、そして藤井猛九段は残念ながら順位戦B級2組を降級という結果になり、振り飛車党の明暗が分かれました。
久保 でも、棋譜をみるとふたりとも研究しているのが伝わってきます。鈴木九段は将棋が若々しくて、勢いがありますよね。この前、若手から「藤井猛先生と仕事で一緒になったら、終わってもずっと序盤の話をしていた」と聞きましたよ。
――藤井猛九段は四間飛車で居玉のまま居飛車穴熊を倒す「藤井システム」が有名ですが、1号局の直前に久保九段も似た構想で指していました。
久保 あの頃はAIがないので、自分で考えるしかありません。藤井さんとは接点どころか連絡先も当然知らないので、棋譜をみて初めて似たようなことを考えていたんだとわかりました。



