――モチベーションはどうやって保っているんですか。
久保 将棋以外、何もできなかったのが自分の強みだと思います(笑)。将棋は楽しさよりも苦しいことのほうが多いですが、ほかに何もできないから将棋をやるしかなかったです。
師匠にもよく言われましたよ。「久保くんはそんなに将棋の才能がなかった。でも努力する才能はあった」って。どんなときでも将棋をやめたいと思うことはなかった。そういう意味では天職でした。
「もし19歳に戻ったら…」
――2019年のインタビューで「将棋は中終盤の力で決まる。2手目△8四歩が最善と言ってよいレベルに自分はない。これからも振り飛車を指していく」とおっしゃっていました。
久保 変わらないですね。やっぱり中終盤の強い人が上に行きます。自分の弟子には詰将棋をやったほうがいいとひたすら言うんですけど、いまのひとたちはやらない。私が19歳に戻ったら、1局も将棋を指さずに永遠に詰将棋だけ解いていますよ。
――え、研究しないでも対局に勝てるんですか。
久保 分かんないです(苦笑)。でも、詰将棋を解く能力は25歳までがターニングポイントです。そこを超えると、少しずつ右肩下がりに落ちていきます。これはデータで説明できる自信もある。
28歳でいきなり「いまから詰将棋やって終盤強くなろう」と思っても無理です。それはいろんな人に伝えてはいますけど、やるかどうか本人次第なので。
自分は解いてきたほうだとは思いますけど、それでも後悔はある。「死ぬほど解いた」という人は聞いたことがないので、みんな「もっとやっときゃよかった」と後悔しているんじゃないでしょうか。
――通算900勝が目前に迫っており、1000勝もみえてきました。
久保 振り飛車で1000勝は、大きな目標です。いままで、大山康晴十五世名人だけだと思います(生涯成績は1433勝781敗。居飛車も指していたが、30代から振り飛車中心になった)。振り飛車でもこれぐらい勝てるんだと、私も証明したいですね。
実は17歳でプロデビューしたとき、毎年30勝はするつもりだったので、50歳で1000勝を達成している予定でした。100勝強の努力が足りなかったのでしょう(苦笑)。あと5年くらいで達成できるように頑張ります。



