脳科学の本からアイディアを…

――1年ぐらい前から、将棋の研究ノートもつけるようになったそうですね。

久保 昨年に読んだ脳科学の本に「エビングハウスの忘却曲線」が紹介されていて、1日経つと相当忘れるのですぐの復習が大事だとありました。実際、若手に「2か月前、この将棋を指しましたよね」といわれても、覚えていなかったんですよ。

©︎杉山秀樹/文藝春秋

 ノートをつければ違います。図面も手書きです。「書く」という行為で記憶が強化されるんでしょうね。アナログな人間なので、パソコンを使ってはできません(笑)。

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――アナログのほうがいい可能性もあるみたいで、実際に北欧ではタブレット教育が見直されていると聞きます。タブレットは便利なようでも、記憶の定着率が悪いことがわかったので、従来のように紙の教科書に戻す動きもあるんだとか。

久保 家中、ノートだらけですよ。もともと日記はつけていて、初タイトル取った日を読み返すと、人にみせると恥ずかしいぐらいのことも書いていました。本も付箋を貼って、読み終わったら読書ノートをつけています。

 ほかに先手番と後手番ノート・対局相手ノートもあります。あと、アウトプットはしたほうがいいですね。将棋の変化も人にたくさんしゃべったほうが記憶しやすいので、別に誰かに聞かれてもいないのに自分から披露しています(笑)。

――脳トレも取り入れているそうで、Nバック課題(N回前に表示された記号や文字などを記憶するトレーニング)をやっていたと聞きました。

久保 それも脳科学の本に書いてあって、一時期やっていました。最初はできなくても、次第に覚えられるようになります。

――将棋によい影響はありました?

久保 いやぁ(苦笑)。これをやれば絶対よくなる、それが分からないのが人生なんで。

――将棋の研究や詰将棋をやるほうがダイレクトに効果がありそうですが、どうなんでしょう。

久保 そうかもしれないですが、私はほかの人がやっていないことをやるのが好きなので、いろいろ試します。興味がほかに行くとやめちゃいますけど、将棋という軸はあるので、最終的にちょっとでもいい影響があればいいなぁという感じです。

 人と同じことをやっていたら、人と同じところまでしか行けないと思っています。もちろん、そこまでたどり着けないかもしれないけど、上に行くなら人と違うことをやらないとだめです。