大戸屋がフードコート進出を進めている。しかし大戸屋の主力である「定食」は品数が多く、少ない人数で大人数を捌く必要があるフードコートとは相性が悪いとされてきた。
にもかかわらず、なぜ大戸屋はフードコートに出店するのか。実際に店舗のクオリティを維持できているのか。それを確認するため、葛飾区にある大型ショッピングセンター「アリオ亀有」の大戸屋を訪れた。
土曜日だったが、15時のフードコートは比較的空いていた。休日の昼時に来ると座れないことも多い人気エリアだが、この日はスムーズに席が見つかり場所を確保できた。周囲を見回すと、やはり家族連れの姿が多い。ドーナツやソフトクリームなど、軽食を楽しんでいる人も目立つ。もちろん私の目当ては「大戸屋ごはん処」だ。
アリオ亀有のフードコートには「丸亀製麺」「どうとんぼり神座」「餃子の王将」「築地銀だこ」「テキサスキングステーキ」など、おなじみの店が並んでいる。その中で、定食を主力とする大戸屋は少し異質な存在だ。
品数の多い定食を注文から7、8分で提供する難易度
私が注文したのは「大戸屋ランチ」で、価格は810円だった。以前と比べれば価格は上がっており、メニューを見ると900円を超える定食も珍しくないが、そもそも大戸屋は安さだけを売りにしてきた店ではない。手作り感のある定食を高い品質で提供することに価値を置いてきたチェーンだ。周囲のファストフード店も値上げが続いており、割高という印象はない。
店内で働いていたスタッフは3人で、注文してから料理を受け取るまでには7、8分ほどかかった。後から「築地銀だこ」へ注文に行った妻の商品の方が先に出てきたといえば、その時間感覚が伝わるだろうか。さらに「築地銀だこ」には5組ほどの待ち客がいたうえでのことなので、フードコートとして考えれば大戸屋は少し時間がかかる。
肝心の定食は、提供時間を短縮するために調理工程を変えた以上、従来の店舗とまったく同じとまでは言えない。それでも揚げ物はサクサクで、ごはんやみそ汁を含めて丁寧につくられており、「大戸屋の定食」としての満足感は十分にある。
スペースが限られた厨房と少人数のスタッフで「大戸屋の定食」を成立させていること自体に意味がある。

