「ほとんど東京…」代々木公園、新宿三丁目、有楽町…
そんな往年の活気をしのばせつつ、それでいていまでも一定の人通りを保っている徳山駅前のアーケード。さらに駅前広場からまっすぐ伸びる「御幸通」と名付けられた目抜き通りは街路樹も立派な大通りだし、アーケードと反対側には小規模ながらもスナックなどの飲み屋が集まる歓楽ゾーンもあった。駅前広場を囲むようにしてビジネスホテルもいくつか並ぶ。さすが、県下第4の都市の玄関口、そして「のぞみ」の停まる駅。
小さな歓楽ゾーンを抜ける。少しずつ駅前の中心市街地らしさから静けさの勝つエリアへと変わってゆく。駅から10分にも満たないからまだまだ駅近のざわめきが残り、雑居ビルも目立っている。
それが少しずつ住宅が多くなってきたところで、ちょっと大きな公園に巡りあう。公園の入口を見れば、「代々木公園」と刻まれていた。そして代々木公園のすぐ脇を通っている大通りは、その名も新宿通という。少し先まで歩けば、新宿三丁目という名の交差点まである。
……と、こうして地名ばかりを聞いているとここが徳山なのか、それとも東京なのかわからなくなってくる。駅前には銀座も有楽町もある。他にも原宿、千代田、晴海ふ頭。昔の徳山の人たち、東京に憧れていたのか……。
などと思うのは、これまた東京人の勝手な思い上がりだろう。多くの地名は、戦後の復興期に名付けられた。空襲で焼け野原になった徳山の町では、復興にあたって既存の地名を元にして複数のそれを合体させたりして新しい地名を付けたという。それが、東京のマネのような地名ばかりになった理由なのだとか。代々木公園に至っては、東京よりも徳山の方が先に開園している。
そもそも、東京の地名は東京の専売特許ではない。新宿もそうだし、たとえば大手町、本町などなど全国各地に同じ名を持つ土地がある。
「50年前、新幹線がやってきた」
東京から新幹線で4時間半ほどの徳山の町である。この町の本質は、これまでうろついてきた駅の北、「みゆき口」側だけではわからない。在来線を踏切で渡り、新幹線の高架をくぐって「みなと口」と呼ばれる駅の南に向かおう。その名の通り、みなと口の駅前には港がある。



