駅弁のトレンドに逆行するような「地味弁当」、どんな内容だったのか?

 30品目バランス弁当は、各地の名物を豪華にアピールするという駅弁のトレンドからは少々外れた商品と言える。駅弁の歴史を振り返りながら、いかに“異端”かを見ていこう。

 諸説はあるが、明治時代に宇都宮駅で販売されたおにぎりとたくあんが、日本初の駅弁とされる。同じく明治時代に、早くも幕の内弁当が登場。その後、地域の海産物などを用いた商品が、各地で誕生していった。

 戦後になり、1958年には「峠の釜めし」の販売が始まった。1966年には大規模催事として知られる、京王百貨店新宿店の駅弁大会がスタート。第1回で売上高4位だった「いかめし」は、その後、実演販売の看板商品となった。

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 新幹線網、高速道路網が全国で整備されるなか、1992年には山形新幹線の開業を機に「牛肉どまん中」が誕生。全国的な人気商品へと成長していった。

駅弁の代名詞とも言える「牛肉どまん中」(筆者撮影)

 さらに、航空機での輸送も含めた物流網の発達を受け、東京駅では2004年に東日本各地の駅弁を常時購入できる「駅弁屋旨囲門」、2012年には対象を全国に広げた「駅弁屋 祭」がオープンした。百貨店の催事でなくても、いつでも、東京にいながら各地の駅弁を楽しめるようになったのだ。

 同店で購入できる、ご当地性があってかつ豪華な駅弁には、「米沢牛炭火焼特上カルビ弁当」(山形・米沢駅、税込2160円)、「えび千両ちらし」(新潟・新潟駅、同1800円)、「鱈めし」(新潟・直江津駅、同1600円)などがある。

 そんな中、「30品目バランス弁当」は、どこかの地域の名物が入っているわけでも、見た目が派手なわけでもない。その名の通り、30種の食材を一度に楽しめる駅弁だった。

ヘルシーでバランスよく栄養をとれる弁当だった(筆者撮影)

 筆者は2011年に製造現場を取材したことがある。当時はエビ、枝豆、ごぼう、さつまいも、2種類のご飯などで、箱に書かれていたキャッチフレーズは「健康なカラダは食事から」。値段は2004年の発売から長らく税込850円で、終売時も同1000円と、一貫して手頃な価格を維持し続けた。