「『台湾へ帰ろう』と思ったことは一度もありませんでした。AKB48は、中学生の頃からずっと憧れていた場所ですし」
そう明かしたのは、AKB48として8年間活動した真楪伶(まちゃりん、改名前は馬嘉伶)さんだ。
2016年、台湾から画面越しに憧れていたAKB48に初の海外メンバーとして加入。グループ卒業後はチーズケーキのプロデュースやキャラクター事業など、新たな分野にも挑戦している。さらに、恋愛経験が全くないことを赤裸々に語ったSNS動画が大きな反響を呼び、「設定なのでは?」という声まで寄せられた。しかし本人は「あれは本当なんです」と笑う。
憧れのグループで夢をかなえ、新たなステージへ歩み続ける真楪伶さん。その8年間の軌跡と、卒業後に見つけた新たな夢、そして「29年間彼氏がいない」シリーズ誕生の裏側まで、たっぷりと話を聞いた。(全4回の3回目)
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渡辺麻友の一言に反応できないほど余裕がなかった
――台湾から日本にやってきて、AKB48として最初に挑んだお仕事は、どんなものでしたか。
真楪伶 初めてのお仕事は撮影だったのですが、一日中フラッシュを浴び続けることにも慣れていなくて、表情が硬くなってしまったり、目を開けられなかったりしていました。
その時、まゆゆさん(渡辺麻友)が私が着ていたお洋服を見て、「その赤いコート、かわいいね」と声を掛けてくださったんです。
だけど私は心に余裕がなさすぎて、せっかくまゆゆさんからかけていただいたその言葉にも反応することができず、無視をしたようになってしまったんです。
後でマネージャーさんから「ちゃんと返事をしなきゃ駄目だよ」と注意されて、「私は何をやっているんだろう」と反省したことを覚えています。
――憧れだった渡辺麻友さんに声を掛けていただいたことにも気づけないほど、目の前のことで精一杯だったんですね。
真楪伶 その後、落ち込みながら外を眺めました。その景色を見た瞬間、「この景色を今見られているのは、台湾から夢を追いかけてきた私だからなんだ」と思ったんです。「あの頃の自分が憧れていた場所に、本当に立っているんだ」。そう実感できて、「絶対に諦めない」と改めて心に決めました。

