5/5ページ目
この記事を1ページ目から読む
「私は殺したその晩に、すぐに警察署へ連れていかれました」
憎いのは妻ではなく認知症だった
――どなたが通報されたんですか?
「最初、私が110番と119番を鳴らした。でも通じない。だから、近くに住む姉へ電話した。そしたら5分ぐらいで飛んできてくれた。姉がすぐに警察と消防署に電話して、すぐにパトカーが来ました。11時45分ごろのことです」
――犯行は10時半ごろですよね。絞めてからどのくらい経って亡くなったのがわかったのか。
「2分後ぐらい。顔がうっ血してきましたから。それでタオルを外して体を触ったら、もう冷たくなってました。で、あっ、死んじゃったな、と。
最初に救急車が来ました。応急処置で一度息を吹き返したらしいですね。で、死亡推定時刻は翌朝の8時すぎでした。私は警察署の取調室でそれを知りました」
――その2分間は何を考えていた?
「何も考えてないね。ただ、様子をじっと見ていた」
――いったん「息を吹き返した」と聞いたときは?
「良かったなと思いました」
これまでずっと妻の認知症に悩まされ続けてきた健二郎は、よかったなと思った理由を「認知症より後遺症のほうが介護は楽そうだからね」と話した。殺したかったわけではない。憎いのは認知症――そんなことを思わせる言葉だった。
高木 瑞穂(たかぎ・みずほ)
ノンフィクションライター
1976年生まれ。月刊誌編集長、週刊誌記者などを経てフリーに。主に社会・風俗の犯罪事件を取材・執筆。著書に『売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』『東日本大震災 東京電力「黒い賠償」の真実』『覚醒剤アンダーグラウンド「日本の覚醒剤流通の全てを知り尽くした男」』(彩図社)、『裏オプ JKビジネスを天国と呼ぶ“女子高生”12人の生告白』(大洋図書)、『日影のこえ』(共著、鉄人社)ほか。
ノンフィクションライター
1976年生まれ。月刊誌編集長、週刊誌記者などを経てフリーに。主に社会・風俗の犯罪事件を取材・執筆。著書に『売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』『東日本大震災 東京電力「黒い賠償」の真実』『覚醒剤アンダーグラウンド「日本の覚醒剤流通の全てを知り尽くした男」』(彩図社)、『裏オプ JKビジネスを天国と呼ぶ“女子高生”12人の生告白』(大洋図書)、『日影のこえ』(共著、鉄人社)ほか。
