「中目黒だと思って」代官山駅前のマンションへ引っ越し
阿川 2回目でしょ(笑)。静かな環境を求めているとおっしゃったけれど、ご本を拝読していると、1人で住んだり2人で住んだり、彼女が道で拾った猫の蚤取りにご苦労されたり、波乱万丈ですね。
松尾 厄介事を呼んじゃうんですよ。
阿川 ある意味、ネタを呼んでいる。
松尾 引っ越す度に小説を1冊書いています。自分が体験した厄介事を書いているわけではないんですけど、引っ越すと、視界が変わって新しいネタが思いつくんですよね。
阿川 2014年に今の奥様とご結婚されて、そのときのお住まいは代官山。松尾さんらしくないような。
松尾 居酒屋がほぼなかったです。中目黒だと思って選んだんですよ。その前が三宿に住んでいて近くの中目黒でよく遊んでいたから、住みたいなと思って探していて。気に入った家が見つかったんですけど……。
阿川 代官山駅の真ん前のマンションだっつうのに……(笑)。
松尾 不動産業者に車で連れまわされていたんで、自分がどこにいるのか、分からなくなったんですよ。
阿川 松尾さんって、緻密なんだけど、どこか抜けているところがあるんだよなあ。
松尾 抜けてないと、2日で今の家を買わないです。
やっぱり本の引っ越しが大変だった
阿川 代官山から笹塚、その後某町に8年住んで。ついに3年前、60歳にして同じ某町で建売の新築一軒家をご購入。ローンを組まないってところがすごい!
松尾 僕ぐらいの年だとローンを払い終えている人もいますからね。今までローン分を積み立ててきたんだという気持ちで買いました。
阿川 今日は引っ越しのコツを伝授いただきたいのですが。
松尾 特にアドバイスできないですねえ。今の家を買う前に、近くのマンションに8年間住んだので、荷物が半端なくあって。引っ越し前は本当に戦場でした。
阿川 段ボール100箱ですもんねえ。劇団関連の物が多いんですか。
松尾 そうですね。劇団の膨大な資料の他に、僕がグッズのデザインを担当するので、光るキーホルダーとか変な団扇とか、そういうものを押し入れにため込んでいたんです。
阿川 本は売ったりして300冊も手放したんでしょ。
松尾 やっぱり本の引っ越しが大変でしたね。自分が書いた本だけで50冊くらいあるので。
阿川 独身時代から持ち続けていた雑誌の選別も大変だったとか。
松尾 『お宝ガールズ』というゲスい雑誌のことですかね。小池栄子さんとか、今役者として活躍している方々のグラビアショットが載っていて。断腸の思いで仕分けしました。