フィルムは光によって削られる「彫刻」

リム お2人の『月世界のアマチュア』という短編(イメージフォーラム・フェスティバル2026で上映)も戦前の日本と台湾のアマチュア映画作家をテーマにしていますね。台湾と日本の知られざる文化の交流史を、16ミリフィルムなどの撮影媒体で撮っていく作家性が、たいへん面白いと思います。

©文藝春秋

ホアン 16ミリフィルムや9.5ミリフィルムはいずれも1923年に発明されました。「甘露水」という作品は1921年に作られていますから、同時代なんですね。おそらく黄土水も当時見ていたであろうそういうフィルムと、同じ材料を使いたかった。また、こうしたフィルムには銀の粒子が塗布してあり、そこに光が当たることで消えていく。当たらなかった部分は残る。そういう仕組みで光をとらえているわけです。これはある意味では、彫刻に似ています。大理石を削る彫刻のように、フィルムは光によって削られていく媒体。そのふたつを対話させるという、そういう意味合いもありました。

リン 私たち2人が最初に協力して作った作品というのも、1930年代に日本に留学した台湾の文学者に関するドキュメンタリーでした。台湾の戦前の歴史を扱っていくと、どうしても日本と様々な関わりが出てきます。当時のメディア、媒体を使った実験をするのも好きで、いろいろと試みています。

ADVERTISEMENT

©台湾映画上映会2026

リム 最後に台湾映画の魅力についてお聞かせください。

ホアン 私にとっての台湾映画の魅力というのは、やっぱり自由であることです。私たちのようなこんな変な作品でも、許容されている。色々なイデオロギーであったり、作る人によって観点は違うと思いますが、どんな立場でも作品を作ることができる、というのが台湾の良さじゃないかと思います。

リン 台湾は、非常に複雑な歴史を経て来ました。様々な観点の人たちがいて、そういう人たちが、それぞれの観点から自由に語ることができる。そこが良いと思います。

(左から)ホアン・バンチュエン監督、リン・ジュンニー監督
最初から記事を読む 「私の犠牲で兄妹は大学へ行き、家まで建ったのに、なぜそんなに汚いものを見る目で私を見るの?」14歳で娼婦に売られた女性の再生の物語【『海を見つめる日』】