タケノコ採りの季節も終わりに近づいていた。メスグマの駆除以降、被害が出ていないことから、「やはり駆除されたメスグマの単独犯だったのでは」という見方も出始めた。
そんな矢先に7件目の事故は起きた。
子グマ2頭を連れた母グマと遭遇
【7件目の事故(被害者は生還)】
6月30日朝、秋田県鹿角市在住の男性Gさん(54)は両親と3人で、十和田大湯大清水にワラビ採りに入った。現場はFさんの遺体発見現場から南に約9キロの地点である。
9時半ごろ、3人が林道を歩いているときに、子グマ2頭を連れた母グマと遭遇、先頭にいたGさんが尻もちをついたところ、母グマが襲ってきた。手を振り回して抵抗したところ、クマは逃げたが、Gさんは上半身を複数個所、引っ掻かれたり、噛まれるなどして全治2週間の怪我を負った。
この事故は「事態は収束しつつある」という方向に傾きかけていた関係者に冷や水を浴びせた。状況からすると、偶発的な遭遇から子グマを守るための防衛的攻撃のようにも思えるが、食害事故が起きた現場との距離が近く、積極的な攻撃であった可能性もある。
この7件目の事故が一連の「十和利山クマ襲撃事件」の最後の事故ということになる。
改めて、7件の事故の発生日時、発生現場、被害者の状況をまとめるとこうなる。
(1)5月20日 熊取平 Aさんがタケノコ採りで入山
5月21日 熊取平 Aさんの遺体発見
(2)5月22日 熊取平 Bさん夫婦がタケノコ採りで入山。Bさんの遺体発見
(3)5月25日 田代平 Cさんがタケノコ採りで入山。行方不明となり家族が捜索願
(4)5月26日 田代平 Dさんがタケノコ採りで入山。クマと対峙するも生還
(5)5月29日 田代平 Eさん親子がタケノコ採りで入山。クマと対峙するも生還
5月30日 田代平 25日に行方不明になったCさんの遺体発見
(6)6月8日(7日) 田代平 Fさんがタケノコ採りで入山
6月10日 田代平 Fさんの遺体発見
(7)6月30日 大清水 Gさん親子3人がワラビ採りで入山。3人とも生還。
これを見て気付くのは、例えば、以下のようなことだ。
・現場は当初、熊取平が中心だったが、Cさんの事故以降、北東に2キロ離れた田代平へと移動している。
・5月20日から29日までの9日間で5件というハイペースで襲撃が起き、3件が死亡に至っている。6月に入ってからは襲撃のペースが落ちている。
こうしたことは何を意味しているのだろうか。
(文中一部敬称略)
