怒りのパワーで走り、終わったらスマイル

――本格的にマラソンを始めて、大阪国際女子マラソン、モスクワの世界選手権での結果は大きな自信になりましたか。

福士 大阪は、最終的に1位の選手がドーピングで失格になったんですけど、レースでは2位になっちゃったんで、最後は怒りの走りでした(笑)。

「なんでこんなに(身体が)動かねぇんだよ。うしろから来なきゃいいな」って思いながら、「もう二度と走らねぇ。これで最後にしてやる」って怒りのパワーで走っていました。

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――でも、終わった後は、スマイルでした。

福士 レース中は必死ですけど、走り終わったらね、なんぼでも笑顔が出ますよ。笑顔で喋れるだけの余力は残しておくタイプなんで。だから最後は、しんどくても絶対に倒れない。倒れたら何ひとつ言葉が残らないから、何か残してやろうって、いつも思っていました。

自分を奮い立たせるために放った言葉が物議に

――モスクワの3位で、リオデジャネイロ五輪も見えた感じだったのですか。

福士 いや、モスクワで銅メダルを獲った後、これで十分だなと思って一度、競技から離れたんです。3か月ぐらいOL生活を送っていたんですよ。でも、それに飽きちゃって。仕事は体力が落ちた後でもできるなと思って、「もう一回、リオ五輪を目指してもいいですか」と監督に言って、リオに向かったんです。

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 2016年、リオデジャネイロ五輪のマラソンの選考レースである大阪国際女子マラソンで優勝。レース後の「リオ決定だべ」のひとことが物議を醸した。

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――リオ五輪を決めたレース後のひとことが大変な騒ぎになりました。

福士 あれね、言ってはいけなかったらしいんですけど、言っちゃって(苦笑)。しかも1等賞(金メダル)を獲るって公言しましたからね。それまで、そんなことを言ったことがなかったんです。

 何回も五輪に出ていると、もういいだろうって自分で気持ちに蓋をしてしまうので、リミッターを外し、自分を奮い立たせるために言ったんです。公言して本当に金メダルを獲った北島康介さんとかはすごいなって思いますね。

リオデジャネイロ五輪はマラソンで出場し、14位でゴールした ©文藝春秋

マラソンは…「ほんと、難しい」

――リオデジャネイロ五輪は念願のマラソンで出場し、14位でした。改めてマラソンは、どういうものだと思いましたか。

福士 マラソンはね、努力しても実らないものかもしれない。ほんと、難しい。何回か失敗すると思うけど、成功法みたいなものはあるので、挑んでみる価値はあると思います。

 一方で、トラックは練習が出来ればタイムが出ます。トラックの回り方が上手なのも大事。うちの選手(ワコール女子陸上競技部の選手)には「トラックを回るのが嫌い」という子がいて、「なんで? ただ回っておけばいいじゃん」って思うけど、「ロードの方が景色が変わっていい」とかいうんです。私は、今もマラソンが嫌いです(笑)。

次の記事に続く 「使えないな、戦力外」「『こいつ、マジで終わりだな』と…」“五輪4度出場のレジェンド”が現役引退…福士加代子(44)が明かす、“今は走る気ゼロ”なワケ

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