陸上競技で4大会連続のオリンピック出場を果たした福士加代子さん(44)。2022年1月に現役を引退し、現在はワコールのアドバイザーを務める傍ら、陸上競技の普及活動に取り組んでいる。

 リオ五輪後に一度は引退を考えたものの、東京五輪挑戦を経て幕を下ろした現役生活。夫の言葉で臨んだラストレースの成績は振るわなかったが、沿道からは温かい声援が送られた。

 そんな福士さんに、引退を決めた真相、夫の後押しで実現したラストレースの裏側、走る時に「笑顔」を絶やさない理由などについて話を聞いた。(全3回の2回目/3回目に続く)

ADVERTISEMENT

福士加代子さん ©文藝春秋

◆◆◆

東京五輪への挑戦を決意させた「私の応援団みたいな人たち」

――2022年1月に引退されましたが、どういう経緯があったのですか。

福士加代子さん(以下、福士) 最初は、リオデジャネイロ五輪の後にやめようと思ったんです。マラソンで出たけど、先頭集団から落ちこぼれてしまったし、最後はしんどくて死ぬかと思った(苦笑)。金メダルは取れなかったけど、ゴール後はリオのカーニバルみたいなのを見られて、楽しかったからもういいかって思ったんです。

 でも、私の応援団みたいな人たちがいるんですが、その人たちと東京五輪の話をしていたら「最後、東京の国立で応援したいな」「じゃーみんなで行こうぜ」みたいなノリで盛り上がって(笑)。

 東京五輪まで引っ張って、かっこいい姿を見せられればいいなと思って、引退するのをやめたんです。

リオ五輪にはマラソンで出場した ©文藝春秋

――2019年、東京五輪女子マラソン選考会となったMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)は、7位。3位以内までもう少しでした。

福士 この時は、ワコールから私と一山(麻緒)、安藤(友香)の3人が出たんです。絶対に誰かいけるやろ、あわよくば私がって思っていたんですけど、3人ともダメで、もうびっくりするしかなかったですね。チーム力がなさ過ぎで、本当にうまく行かないもんだと思いました(苦笑)。

 その後、MGCファイナルとなる大阪国際女子マラソンに出たんですけど、私は25kmで途中棄権して。でもこの棄権は、レース前から監督に「先頭集団が速すぎて私がくたばったら挽回するのは難しいので、途中でやめて名古屋(ウィメンズマラソン)に切り替えます」と言っていたんです。監督は、そんなこと言うなよって感じでしたけど、本当にくたばりました(苦笑)。