陸上競技で4大会連続のオリンピック出場を果たした福士加代子さん(44)。2022年1月に現役を引退し、現在はワコールのアドバイザーを務める傍ら、陸上競技の普及活動に取り組んでいる。

 リオ五輪後に、取材で出会ったテレビ局員の男性と結婚。お互いの自主性を尊重し、京都と大阪で拠点を分ける「別居婚」というスタイルを選択し、適度な距離感で良好なパートナーシップを保っている。

 そんな福士さんに、取材から始まった夫との馴れ初め、世界陸上で掴んだ復縁のきっかけ、無理に取り繕わない夫婦関係の秘訣などについて話を聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)

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福士加代子さん ©文藝春秋

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一度は別れた彼に「ワンちゃん、あるんじゃねぇの」とアタック

――2017年に結婚されたテレビ局員の男性とは、どんな出会いだったのでしょうか。

福士加代子さん(以下、福士) 2005年かな、取材で会ったんです。第一印象は、あんまり覚えていないですね(苦笑)。でも、取材は「こいつ、けっこうしつこいな」っていう印象がありました。取材時間が終わりそうなのに、そこからさらに追い込んでくるんですよ。

 しかも、取材が終わった後に出る本音を狙ったりするんで、本当にいやらしいタイプでした。ただ、VTRとかで本音を言っているところをちゃんと使ってくれるので、そういうところでの信頼感はありましたね。それになんか、他の人とは違う言葉とかをかけてくるんですよ。

――違う言葉というのは?

福士 普通、みんなは私に「頑張って」とか言ってくるんです。でも、うちの旦那ちゃんは、なんか私をライバルだと思っているみたいなんです。「俺は、こういうことなら5本の指に入るぞ」って、私と競ってくるんですよ。

 あと、勝手に「俺も一緒に頑張っているよ」とか厚かましく言うんです。「何言ってんだ、こいつ」って思うんですけど、そういうのがけっこう新鮮でおもしろかったですね。

日本選手権で10000mを走る福士加代子さん ©文藝春秋

――2007年頃からつき合い始めたそうですが、結婚まで順風満帆だったのですか。

福士 いや、一回別れているんですよ(笑)。なんで別れたんだろう?? 別れて、もう一回くっつこうと思ったけど、うまくいかなかったんです。

 でも、私がちょっと忘れられなくて。あっちも結婚していなかったので「ワンチャン、あるんじゃねぇの」と思って、何回かアタックしたんですよ。

 で、モスクワ世界陸上の時、これで私は引退だなと考えていたので、彼に「これで最後になるから、取材しておいた方がいいよ。見にこい」と伝えて。そのレースで銅メダルを獲ったんです。彼は、トラックに3位で入って来た私の姿にイチコロになって、惚れ直したんじゃないですかね(笑)。