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「救えた命だった」
「行政が対応を誤らなければ、救えた命だったはずです」
康祐は2019年、児童相談所を管轄する県などを相手取り、約8000万円の損害賠償を求める裁判を秋田地裁に提訴した。だが秋田地裁は「児相の職員と施設側は情報を共有し、母親との面談をしていた」とした上で、行政の対応は不適切とはいえないと判断した。
康祐は即日控訴したが、二審の仙台高裁秋田支部も一審を支持し、控訴を棄却した。
そして、裁判長はこう付け加えた。
「一時帰宅中に母親が娘に危害を加える恐れがあると予見することは困難だった」
これを受け康祐は、いま上告中である。
でも、それでも――。
康祐が凍りついたのは、親権を放棄してしまった一生の過ちを反芻しているからだと感じた。
「考えたこともなかったです」
加害者遺族でもある康祐に、行政の対応を非難する前に救えた命だったのではと、あえて問いただしたことへの反応である。そして続けた。