精神疾患と度重なる奇行に直面し、妻を守ろうと尽力するも、自らも病に倒れた元夫。やがてスピリチュアルに傾倒した妻は「お告げ」で愛娘の命を奪った。
最悪の結末を防げなかった後悔、元妻への憎悪、そして不十分だった行政の対応に対する憤り――。
平成28年に起きた事件の被害者のインタビューを、ノンフィクションライターの高木瑞穂氏の文庫新刊『殺め人』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目)
◆◆◆
「いつかこうなると思っていた」
殺人犯が、占いで犯行を決めるなど、まさに奇想天外で、かつて一度も見聞きしたことがないほど珍奇である。
朋美はなぜ占いに傾倒し、神のお告げを受け、そして娘を殺めたのか。
「私はずっと思っていたんです。いつかこうなるんじゃないかと思っていたんです」
事件から8年3か月後の2024年秋、朋美の元夫で、美咲さんの実父である阿部康祐(51歳)は、この事件は「予感されたことだ」として、実母による愛娘殺害に至るまでの道のり、そして愛娘と朋美への思いを語り始めた。
