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新興宗教にハマった母
遺伝、そして家族内での発症率が高い、という報告もあった。康祐は、それがありありと見える朋美の過去を、義理の父から聞いていた。
「朋美が3歳のときでした。新興宗教にハマった母が虚言や妄想を繰り返すようになり、母は実家から追い出されてしまったそうなんです。実父に引き取られる形で実家に残った朋美は、そのまま母と生き別れてしまいました」
康祐が、遺伝ではなく「家族内での発症」を疑った理由はわかりやすい。こうして朋美は母親の愛情を受けずに育ってしまったからだ。その妄想性障害が社会人になってからや結婚生活で問題を起こす過程は後に詳しく見ていくが、朋美は10代のころから問題行動が目立っていた。
「自分の主張は絶対に曲げない性格で、友達から間違いを指摘されても、それを受け入れられない。それどころか、激昂して、なんとか相手を言いくるめようとする。学生時代は、それが理由で周囲からいじめられていたそうなんです」
康祐は「朋美との結婚の許しを得ようと実家に行ったときのことです」と続ける。
「『嫁にやれるような娘じゃない』。義理の父からこう言われました。家事もダメ、人間関係もダメ。『娘は人としてダメだから』って言うんですよ」