贅沢をしたり、日々の暮らしを蔑ろにしていたりすれば、理想とする芝居からは遠のいてしまうし、演じられない役が出てきてしまう。それは絶対にやってはいけないと心に銘じ、料理、掃除、洗濯などの日々の生活を大事にするようになった。そうした日常が、自分の演じたい芝居と通じているからだ。
「普通の生活者として、私は女優を続けていきたいなと思うんです」(mi-mollet 2019年10月2日)
2024年には、Hey! Say! JUMPの有岡大貴と結婚。「これまで大切にしてきたことをこれからも変わらず大切にしながら 無理のないペースで人生を進んでいけたらと思っております」とコメントを発表した。「普通の生活者」として女優を続けていこうとする松岡の気持ちがよく表れている。
誰かの人生にとって、救いや変化のきっかけに
松岡が芝居をする理由として、繰り返し語っている言葉がある。
「私の演技を見て人生の大きな選択をする人がいるって本当に奇跡みたいなことだけれど、演劇やドラマ、映画にはそれだけの力がある。私のお芝居が誰かの人生にとって、何かの救いや変化のきっかけのようなものになればいいな、と思っています」(FASHION PRESS 2021年3月22日)
俳優の仕事は撮影現場で終わるのではない。作品が観客に届き、その人の生活の中に入って初めて、その先の何かが始まる。松岡は芝居の持つその力を信じている。
松岡の目は「生きづらさ」を抱えている人たちに向いていることが多い。振り返れば、彼女が演じてきた人物は、そのような女性が多かった。
『問題のあるレストラン』(フジテレビ系、2015年)の千佳、『勝手にふるえてろ』(2017年)のヨシカ、『万引き家族』の亜紀。周囲とうまくつながれなかったり、傷を抱えていたり、社会が求める「普通」から少し外れていたりする。野木亜紀子脚本で沖縄の諸問題に迫ったドラマ『フェンス』(WOWOW、2023年)のキー、そして『ダウンタイム』の文もそうだ。
