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そこにいたのは「元エース」ばかり
「そうか⋯⋯。まあ、がんばるのは自由だから」
そう言いながらも、その表情は「無理だろう」と語っていた。
直属の上司となったのは50代の畑尾課長だった。高卒ながら支店長を歴任した叩き上げのベテランである。彼もまた社内で干されてここへ来た。
「噂は聞いている。仕事はやれるのかもしれんが、一回休みだと思え。ここは行き先のなくなった連中の集まりだ。まあ、俺も他人のことは言えんがな。ケンカだけはしないでくれよ」
「成果を出します」
部長に言ったのを同じセリフで答えた。そのやりとりを見ていた周囲の社員たちが苦笑していた。
海外子会社の役員経験者、旧海外部門のエース、支店長候補⋯⋯この部署にいるのは皆、一度は会社の期待を背負った人たちだった。
たとえば角田さんは有名私大を卒業後、大手メーカーを経て日興証券へ転職してきた変わり種だった。英語が堪能で、海外企業との交渉経験も豊富だったが、シティグループ傘下となって海外部門が縮小されると居場所を失った。
また、久我さんは証券マンというより大学教授のような雰囲気を持っていた。
マレーシアやシンガポールを渡り歩いて現地法人の役員まで務めたというが、本社に戻ってきて幹部と対立し、干されたという。