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「離婚してくれない?」
「もう、あなたと一緒に暮らすのは無理だと思う。離婚してくれない?」
頭の中が真っ白になった。
妻は持病を抱えており、体調を見ながら週に数日パートへ出るのが精いっぱいだった。だから家計は私が支えなければならないと考えていた。首都圏営業部への異動で年収は約200万円下がったものの、それでも700万円前後はあり、給与のほとんどを家に入れていた。贅沢はできなくても生活だけは守ってきたつもりだった。
問題はきっとお金ではなかった。相次ぐ転勤に振り回され、そのたびに生活を立て直さなければならなかった妻は、不安を一人で抱え込んでいたのだろう。私は会社への不満を口にしながらも「もう少し様子を見よう」とあいまいな言葉を繰り返していた。その優柔不断な姿勢が、妻の信頼を失わせていったのかもしれない。
「私は病気のことだってある。あなたもまたどこへ行くかわからない。このままの生活を続けても2人が幸せになると思えないの」
その言葉は胸に突き刺さった。反論したい気持ちはあった。会社で起きたことも、自分なりに苦しんできたことも知ってほしかった。しかし、それ以上に妻は苦しんでいたのだ。