福岡のうどん店

 福岡には個性豊かなうどん店がいくつもある。福岡の人にはそれぞれ、自分の好きなうどん店があり、「ここはすめがうまい」「ここのごぼ天が好き」などの一家言を持っている。観光客が辿りつかないようなうどんの名店がゴロゴロとある。昔ながらの佇まいで、地域に密着している老舗では、うどんを啜る音だけが店内に響いて、ゆったりとした時間が流れている。

都心部で24時間営業を続ける『弥太郎うどん』
 『弥太郎うどん』のごぼう天うどん

 その一方で、福岡のうどんをアップデートしようとチャレンジしている店も少なくない。柔らかいのが特徴の麺に、あえてコシを持たせて麺の個性を打ち出したり、ぶっかけスタイルで麺の美味しさを強調したり、打ちたて茹でたての麺を提供したり、魚介の出汁ではなく動物系の出汁を合わせたり。新進気鋭のうどん店は若い世代や外国人観光客からの支持も厚い。

 また「うどん居酒屋」と呼ばれるような存在のうどん店もある。一品料理が充実していてアルコールメニューも豊富。そしてうどんを食べて締めるという楽しみ方だ。福岡は個性豊かな居酒屋も数多くあり、独自の居酒屋文化が広がっている街でもある。福岡の居酒屋文化とうどん文化が融合しているのが、福岡のうどん居酒屋なのだ。

ADVERTISEMENT

 大手チェーンだけではなく、個人経営のうどん店の中にも、福岡を飛び出して関東や関西、あるいは海外にまで進出している店が少なくない。天ぷらやおつまみなどを充実させ、海外で人気の高い日本食と日本酒を合わせることで、福岡のうどん居酒屋業態のように「日本のバル文化」として伝わっている側面もある。

 老舗は昔ながらの福岡のうどんを守りつつ、新進店は新たな福岡のうどんの可能性を探る。そこにチェーン店が日常的なインフラとして広がっている。福岡の人々は、自分のライフスタイルに合わせてうどん店を使い分けている。福岡のうどんシーンは実に多様性があって、裾野が広くて奥が深いのだ。

次の記事に続く すかいらーく、一風堂、ホリエモンまで…なぜ大資本は「福岡のうどん」に群がるのか? 讃岐一強を崩す“やわ麺ビジネス”の深層