関東に攻め込む『資さんうどん』
そして現在、最も注目を集めているのが『資さんうどん』だろう。北九州市で1976年に創業した資さんうどんは、2026年で創業50周年を迎えた。
毎日店内で取る出汁と、うどんや丼、おでんにぼた餅などの豊富なメニューが人気を博し、24時間営業などを強みに北九州のソウルフードとして定着した。
2013年に創業者の大西章資氏が社長を退任し、2015年の逝去に伴い、後継者問題に直面。 経営権は地元の地域特化型ファンドへ移行した。2018年には、独立系投資ファンドのユニゾン・キャピタルが全株式を取得。プロ経営者を招聘し、伝統の味を守りながらも店舗運営の近代化や、九州全県や関西への進出など、店舗網の急速な拡大を進めた。
そして2024年にはすかいらーくグループの傘下に入り、関東進出を本格化。2024年12月には千葉県八千代市に関東1号店を出店し、その後、東京や埼玉などにも店舗を広げた。ガストなどすかいらーくグループの既存の店舗を業態転換しながら出店を加速。2026年9月時点では、全国で120店舗を超える規模にまで拡大している。
“福岡うどん”の認知
資さんうどんの関東1号店である八千代店は、オープン以来連日数時間待ちという社会現象を起こして話題を集めた。1日の来客数は2000人以上、1日平均の売上が200万円以上という驚異的な数字を記録して、各メディアがその人気ぶりに注目した。資さんうどんの好調が、福岡うどんの存在を全国に知らしめたと言って良いだろう。
資さんうどんは関東進出にあたり、北九州の味をそのまま持ってきたのだという。水質の異なる関東でも福岡と同じものを出すべく試行錯誤を繰り返したという。すかいらーくのセントラルキッチンに頼ることなく、店舗で1日に何回も出汁を取るスタイルを頑なに守っている。つまり福岡の味が関東でも受け入れられたということだ。
関東のうどんと言えば、醤油の色が濃いつゆにしっかりとした麺というイメージが強い。そこに讃岐うどんの文化が入り込み、うどんは強いコシという価値観が定着していった。そこに異質な福岡うどんがやってきた。柔らかな麺に透明感のある出汁。丸天やごぼう天などの個性的な具材。関東の人たちからすれば、うどんの常識を覆す存在の福岡うどんが、資さんうどんの進出によって認知されて受け入れられたのだ。

