「挨拶もする、いい子やったよ」――幼少期の彼を知る住民は、のちに母と姉妹の計3人を殺害することになる少年の印象をそう振り返る。安らぎの場所だったおもちゃ屋、母親と暮らしたアパートの跡地……。
姿を変えていく街の景色と、25歳で死刑執行となった男が遺したあまりにも「虚しき人生」の足跡を、ノンフィクション作家の八木澤高明氏の文庫新刊『殺め家』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目)
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母親と姉妹を殺した男
姉妹を殺害した後、山地は逃亡するわけでもなくこの界隈の銭湯に入ったり、公園で寝たりしながら、ふらふらとしていたという。
両親も既にこの世に無く、身を寄せる場所も無かった山地は、何を思いながら、この辺りを歩いていたのか。
山地が生まれ育った山口県山口市、その街の中心部に暮らしていたアパートがあった。その場所へと足を運んでみると、アパートは既に取り壊されていて、駐車場となっていた。
