「バンドを30年間ずっとやってきて、いよいよ五十路を迎えるとなったときに『本当にこれでいいのか?』と自分の人生を見つめ直したんですよね」

 結成30年、50歳を目前にして訪れた「突然の岐路」。30年間ドラムばかり叩いてきたアフロのバンドマン・オカモト“MOBY”タクヤが、あえて人生にノイズを加えるために選んだのは「大学院進学」という未知の選択だった。

 バンドマン、野球解説者、大学院生という三足のわらじを履く、日本でただ1人のMOBY氏に「新しい世界」へ飛び込む楽しさや、年齢を重ねているからこそのメリットについて聞いた。(全2回の2回目)

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50歳で大学院生になったMOBYさんの生活とは? ©山元茂樹/文藝春秋

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ライブを終えたあとにレポート執筆

──試験の時期は、一層大変じゃないですか?

MOBY シラバスで試験日程などは早めに公開されているので、事前に準備したり調整できる部分はしています。この前は地方でライブだったんで、移動中にレポートを進めて、ライブ後にホテルに帰ってきてからも、飯食って酒飲みながら続きをやっていました。

──やっぱり元気……! 多忙でも大学院に通うのは、それだけ学びたい気持ちが強かったということですか?

MOBY 「ひとつのことを突き詰めるのがかっこいい」という考え方もありますが、子供の頃から1個のことに集中できないタチで……。バンドを30年間ずっとやってきて、いよいよ五十路を迎えるとなったときに「本当にこれでいいのか?」と自分の人生を見つめ直したんですよね。

──「このままでいいのか」「もっと自分の世界を広げてみたい」というのは、多くの大人が一度は抱く感情かもしれませんね。

MOBY そうですね。あとは、コロナ禍も関係しています。音楽活動がほぼストップしてしまい、「もっと自分自身のためにも時間を使わなきゃダメだ」と考えるようになりました。そんな中でMLB解説の仕事が本格化し、その流れで本を出したら、ありがたいことに野球文化學會の研究部門奨励賞というのもいただけて、さらに頑張ってみたくなった。

 そこから学び直しというのを真剣に考えるようになりました。メンバーたちも僕の大学院入学に理解を示してくれて、感謝しています。

──実は、自分も去年から放送大学に科目履修生として在籍しています。良くも悪くも年齢を重ねると、キャリアも含めた自分の人生の道筋や、物の考え方というのが固定化されてきてしまいますが、勉強することでそこを一度壊したいなというのがあって。