NHK朝ドラ『ブラッサム』の主人公のモデルである作家・宇野千代は、“恋多き女流作家”として知られていた。様々な恋愛生活が取り沙汰された瀬戸内寂聴との対談では、宇野が驚きの“恋愛観”を語っていたという。作家の下重暁子さんが秘話を明かした。

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若いボーイフレンドに囲まれて

 恋多きおんなとして名を馳せ、愛に忠実に生きた宇野千代さんと瀬戸内寂聴さんという2人の作家の生き方を比べてみたいと思う。

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 私は青山にお住まいの宇野千代さんのお宅に何度か行っている。最初は仕事で、何かの番組のインタビューだったに違いない。私の住まいが都心の広尾で青山のお宅には車で十分もかからない。

宇野千代の書斎兼寝室 ©文藝春秋

 その後、着物が好きな私のために、御自分のデザインした着物を着てもらいたいと言われて伺うと、巾広の横縞いっぱいに桜の花弁が散っている綸子の生地。華やかというより散り際のピンクが白と混じり合ったそのくすんだ色が気に入った。「花筏(はないかだ)」という言葉があるが、散った桜が水面に群れをなし、もう一度生き返ったような柄だったので、即座に決めた。もう1枚、白地に薄墨色の格子柄と、2枚を求めることにした。

自らでデザインした着物をまとった宇野千代(当時36歳)

 もちろん宇野千代デザインである。作家と同時に着物デザイナーであり、スタイルという雑誌も一時出版されていた。すでに90歳近かったと思う。肌はつややか、きちんと着物をきこなし、若いボーイフレンドに囲まれているのもなるほどとうなずけた。

 毎日新聞の連載コラム「生きて行く私」には近況が綴られ、「私、何だか死なないような気がするんですよ」というセリフも別に不自然ではなく、「さもありなん」と、読んだ瞬間、思わず微笑が漏れた。男女関係の華やかさも天然で、心の求めるままにサバサバした調子で無理がなかった。