宇野千代は自然体
寂聴さんが宇野千代さんと対談した時のこと。宇野さんは、
「同時に何人愛したっていいんです。寝る時はひとりひとりですからね」「男と女のことは、所詮オス・メス、動物のことですよ。それを昇華してすばらしい愛にするのは、ごく稀な選ばれた人にしか訪れない」
と話す。
寂聴さんの場合には、つとめてつとめて、出家という形までとることによって、心の安定を得ることができたと言っていい。
確かに得度したあとの寂聴さんは、はた目にも突き抜けた明るさと快活さを取り戻したように見えた。それ以外の、時として感じることがあるイライラした様子や御本人も認める怒りっぽさは消えていた。出家という場は寂聴さんにはなくてはならぬものだったのだろう。宇野千代さんのように自然体でいるには余りに真面目で神経が細かすぎた。
瀬戸内寂聴99歳。宇野千代98歳。最後に書いたのが、「残された日々」と「生きて行く私」。宇野さんのほうがのどかな感じがする。
寂聴さんは、残された日々をどう過ごすかを真剣に考えて平和運動に、困っている人、悩んでいる人、自分を必要としている人達のために何かをしたい、しなければならないと、法話を続け、愛の大切さについて語っている。私も代々木公園での集会で寂聴さんの演説を直接聞いている。※約4800字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』に掲載されています(下重暁子「寂聴と晴美(下)」)。
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