「もう僕の手の届かない存在になっちゃったね」

紗倉 私自身もエッセイを書くとき、元彼を美化するように過去を美化して、「あの頃の私はもういないんだよ、ごめんね」みたいな感覚になることがあります。

伊藤 まなさんは、ずっと第一線で活躍されているからあまり言われないかもしれないけど、私はまだ3年目の“ぽっと出”だからか、よく「遠くへ行っちゃったね」って言われるんです。

紗倉まなさん ©末永裕樹/文藝春秋

紗倉 ええー! そうなんですか?

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伊藤 「もう僕の手の届かない存在になっちゃったね」みたいに言われるんですけど、「最初から届いてないよ」って心の中では思ってる(笑)。

紗倉まなさん、伊藤亜和さん ©末永裕樹/文藝春秋

紗倉 あはは! 辛辣!(笑) でもそれって、作品が広まる嬉しさの反面、「自分だけが共感できた特別性」をずっと感じていたいという心理から来るものだと思うんですよね。「自分だけのものにしておきたかった」みたいな欲求というか。ちょっと分かりますけどね。

伊藤亜和『魔女になりたい』

伊藤 同じところにいてほしいという欲求なんでしょうか。『魔女になりたい』の中でも書いたのですが、クリエーターの仲間たちといる中で私がバズった時に「私がみんなを連れて行く」という気持ちでいたんですけど、それもうまくいかなかったですね。