ドラッグに溺れる少女を演じ、2度のエミー賞を受賞
そのMJ役も含め、ゼンデイヤはどんな役も大げさにドラマチックに演じることはなく、まるで実際に存在する、観る者の周囲にいそうな、身近でリアルな人物のように演じてしまう。
ドラッグに絡め取られてしまう少女のルーを演じた大ヒットドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』(2019〜2026)でも、それは同じだった。親によってリハビリセンターに入れられてしまうほどの危うい人生を歩むルーを、ゼンデイヤはやはり、体温のある1人の人間として演じ切ったのだった。ゼンデイヤは同作で過去に3度、エミー賞主演女優賞にノミネート、2度受賞を果たしている。
転機は14歳、ディズニー・チャンネルのドラマで活躍
ゼンデイヤは8歳でヒップホップ・ダンスを学び始め、以後、劇団にも参加し、地域の舞台劇やデパートのCMのモデルなども行うようになった。大きな転機となったのは、14歳でディズニー・チャンネルのシットコム*『シェキラ!』で主役を勝ち得たことだった。
*シットコム=シチュエーションコメディ:特定の場所、人物で繰り広げられる、ユーモラスな場面を1話30分程度で描くドラマ
オーディションを受けた200人の中から選ばれたゼンデイヤは、親友とコンビを組んでダンサーを目指す少女、ロッキー・ブルーを演じる。この番組は子供たちの人気を得、2010~2013年に3シーズン続いた。
主人公の名前の変更を訴えた
2015年になると、同じくディズニー・チャンネルのドラマ『ティーン・スパイ K.C.』で主役を演じた。高校生役を演じたゼンデイヤだが、この時、実年齢はすでに18~22歳だった。幼少期からショービズ界を生きてきたゆえに、自身のやりたいことや主張をすでに強く認識していたのだろう。自身が主演でありながら、プロデューサーにも名を連ねている。
当初「ケイティ」だった主人公の名前を「私がケイティに見える?」と変えるよう訴えたり、両親役の出演シーンも多く設けたりするなど、前作『シェキラ!』に比べると黒人性を強めに打ち出している姿勢もみせた。
10代からの根強いファンの存在
この番組がまだオンエア中だった2017年に、トム・ホランド版『スパイダーマン』シリーズの第1弾『スパイダーマン:ホームカミング』が公開となっている。当時、大人の多くはゼンデイヤを知らず、マーベル・スタジオ社長(ケヴィン・ファイギ)さえもそれは同じだった。
MJ役のオーディションで目の前に現れたゼンデイヤを「なんてこと、彼女は素晴らしい(Oh my God, she’s amazing)」と採用したのだが、その少女は中高生の間ではすでに知らぬ者のないレベルの認知度と人気を得ていたのだった。
当時、ディズニー・チャンネルを夢中になって観ていた子供やティーンエイジャーたちは、成長した今もゼンデイヤの揺るがない強固なファン層なのである。


