もっとも、近年はダークスキンの黒人女優も主演女優賞にノミネートされることが増えている。その筆頭はベテランのヴァイオラ・デイヴィスで、『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』(2011)などで2度ノミネートされている。『ウィキッド ふたりの魔女』(2024)のエルファバ役が記憶に新しいシンシア・エリヴォも過去に2度ノミネートされたが、いずれも受賞は逃している。
「私は“受け入れられる”黒人女性なのかもしれない」
そもそも主演賞を受賞するには優れた作品の主演に抜擢されなくてはならないが、ダークスキンの黒人女優は配役自体がなされにくい。ゼンデイヤは2018年にニューヨークで開催されたビューティコン・フェスティバルに登壇し、この問題を語った。
「私はハリウッドにおける、いわば“受け入れられる”黒人女性なのかもしれないけれど、それは変えなければ。
私たちはあまりにも美しく、あまりにも魅力的だから、私だけがその代表であるべきじゃない。
私が言いたいのは、そうした機会を創り出すことが大切だということ。時には、そういう道を切り開かなければならないこともある。それはハリウッドでも、芸術でも、何事にも言えること」
同じく2018年、ゼンデイヤはマリ・クレール誌でのインタビューではこう語っている。
「いつも演劇担当のマネージャーにこう言ってるんです。『白人の女の子を探している』と書いてある時はいつでも私を送り出して。オーディションの場に立たせて。もしかしたら彼らが考えを変えてくれるかもしれないから」
『スパイダーマン』のMJ役は、もちろん白人女性を想定したものだったが、ゼンデイヤは人種の枠を超え、女優としての煌めきで役を勝ち得たのだった。
ライトスキンの女性であるという意識
2020年、ゼンデイヤはジャネール・モネイ、ジェニファー・アニストン、リース・ウィザースプーンなど錚々たる女優たちとの座談会に参加した際、司会者にマリ・クレール誌での発言について聞かれ、こう答えている。
「ライトスキンの女性として、その意味での自分の特権を認識し、必要のない場所でスペースを占有しないようにすることも重要だと考えています」
ライトスキンのゼンデイヤが白人のために作られた役を演じることによって、黒人と設定された役柄を他の黒人女優が演じられるということだ。
なお、『オデュッセイア』ではダークスキンの女優、ルピタ・ニョンゴがトロイのヘレネ(および姉妹のクリュタイムネストラとの二役)を演じたところ、「あの時代のあの地域に黒人はいなかった」などの批判が巻き起こった。しかし、同じ黒人でありながらライトスキンであるゼンデイヤの同作出演に対して、そうした声は多くはなかった。(つづく)
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