日本の保育園や学校は、学力の向上という意味では物足りないものの、子どもの生活能力の育成に力を入れている。集団生活のルールや身の回りのことを自分でする習慣など、中国とは異なる教育を受けられる点が魅力なのだという。
しかも、都内の保育園は無料。小学校も無料。なのにさまざまな活動や教育を提供してくれる。習い事のお金がかからない。実に素晴らしい、という話である。こうした話はこのイベントで聞いただけではなく、中国語のSNSやショート動画サイトを見ると、すくなからず投稿がある(移民仲介業者らしきアカウントが宣伝していたものも、「医療が安い」といった話なども含めて、いくつもみられる)。
なぜニューカマー組に「モヤる」のか?
ただ、日本人としてはいささか複雑な気持ちにもなる。保育園や公立学校がタダなのは、ボランティアで運営されているからではなく、公費が投入されているからだ。加えていうと、日本社会がこういう仕組みなのも……。つまり、私たち一般納税者が高い税金と経済の停滞に耐えつつ、暴動も起こさず安定した社会を築いて維持しているからである。
もちろん、公共サービスは納税額に応じて提供されるわけではない(極端に言えば、納税額ゼロの人でも制度を利用する権利はある)。だが、日本でながらく社会の一員として暮らしてきた外国人ならともかく、数年前に「中国はイヤ」という理由で移住した人が、教育系の公共サービスがタダだと喜ぶ姿は「モヤる」。すくなくとも、私は人間ができていないのでそう思う。
しかも、彼らは日本が暮らしにくくなれば「二潤」、つまり他国に再移住を考える。当然、自分たちがいつまで住むかもわからない日本社会に対する関心は弱く、日本語を覚える気もあまりない。もちろん全員がそうではないにせよ、従来の私の観測やこのイベントにおける論調を見る限り、ニューカマーの「潤日」組の中国人にこういう傾向は明らかにある。
日本語がわからない保護者vs.公立小学校
私がこうした問題に関心を持つのは、実は理由がある。自分自身が数ヶ月前、知人の相談を受けて、都心の公立小学校の保護者と学校との話し合いに同席(通訳)する機会があったからだ。

