技能実習生、失踪者は2万6000人以上に
山下貴司 法相
「失踪者の傾向が明らかとなり、失踪を誘発する悪影響も生じかねない」
東京新聞 11月7日
これまで続いてきた外国人技能実習制度も疑問視されている。法務省によると、2017年末に日本に在留する外国人実習生は27万人を超えるが、そのうち、2017年に失踪した実習生は7000人以上。過去5年間の累計では2万6000人以上が失踪した。今年は2017年を上回るペースで失踪しているという。
実習実施機関の不正で多いのは賃金の未払いや最低賃金以下の支払いで、時間外労働に対する賃金が「時給300円」や「暴行・脅迫・監禁」の事例もあった。2017年に法務省から不正行為を指摘された機関は213団体に上る。
7日の参院予算委員会では山下貴司法相が法務省による調査結果の一部を発表。失踪した外国人技能実習生の87%が「現状の賃金などへの不満」を理由に挙げたことを明らかにしたが、調査結果の全容の公表については「失踪を誘発する」と慎重な姿勢を示した。改善する気があるのだろうか?
日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎弁護士は新制度導入を急ぐ政府の姿勢について、「受け入れ拡大は、まず実習制度の教訓を学んでから。このままでは問題の拡大につながるのは必至だ」と批判(朝日新聞デジタル 11月9日)。神戸国際大学教授の中村智彦氏は、この技能実習制度を継続させれば「労働者を労働者ではないと言い張り、人権や労働者の権利を認めない国として存在してしまうことになる」と警告している(Yahoo! ニュース個人 11月6日)。
岸田文雄自民党・政党会長「間に合わせなければいけない」
辻元清美 立憲民主党・国会対策委員長
「重要広範議案にするのは当たり前だ。多岐にわたる問題点を慎重に十分な時間をかけてやらなければならない」
日本経済新聞 11月3日
入管法改正案について「重要広範議案」への指定をめぐる与野党の攻防も続いている。指定されれば、本会議の質疑で首相が答弁するほか、法務委員会の質疑で法相に加えて首相の出席を求めることができる。
与党側は入管法改正案を重要広範議案に指定しない方針だ。なぜなら、安倍首相の外交日程が今国会の会期と丸かぶりしているからである。今月11日から15日まではシンガポール、17日から18日まではパプアニューギニア、30日から12月1日まではアルゼンチンへの外遊が予定されている。安倍首相が本会議に出席していては入管法改正案の成立が今国会の会期末の12月10日までに間に合わないおそれがあるということらしい。
来年4月の導入に強いこだわりを見せているのは安倍首相と首相官邸である。10月下旬の自民党法務部会では準備不足が目立つ拙速ぶりを指摘する声が相次いだが、法務省の担当者は「(安倍晋三)首相から『来年4月を目指して』と言われ、作業を急いでいる」と思わず漏らしたという(西日本新聞 11月9日)。
岸田文雄 自民党・政調会長
「間に合うように努力をしなければならないし、間に合わせなければいけない」
FNN PRIME 11月5日
4日、フジテレビの『報道プライムサンデー』に出演した自民党の岸田文雄政調会長は、外国人労働者の社会保障問題について「こう言った議論は国会でもしっかり詰めることになります」と言いつつ、「間に合わせなければいけない」と語った。
安倍首相の外遊を優先しつつ、法案は今国会で成立させて来年4月実施というスケジュールありき。具体的な外国人労働者への対応は来年4月にできる出入国管理庁で「厳格化」していく。それで本当にこの国は大丈夫なの?