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新在留資格の取得に必要な技能水準は不明のまま

石井啓一 国土交通相
「検討しているところではないか」

時事ドットコムニュース 11月5日

石井啓一 国土交通相 ©文藝春秋

 入管法改正案によって新設される在留資格は「特定技能1号」と「同2号」の2種類だが、取得に必要とされる技能水準の具体的レベルなどは不明なままだ。

 5日の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫氏が、在留資格の取得要件に「相当程度の技能」が掲げられていることを取り上げ、「相当程度はどの程度か」と山下貴司法相に質問したところ、山下氏が「各省庁が検討している」と回答したので、観光業を所管する石井国土交通相に「宿泊業の相当程度の技能水準とは何か」と質したところ、石井氏は「検討しているところではないか」などと繰り返すのみで具体的な回答はなかった(東京新聞 TOKYO Web 11月6日)。まるで他人事のようだ。蓮舫氏は「どの程度の技能が必要なのかを先送りにして資格だけつくるのは間違っている」と批判した(日刊ゲンダイDIGITAL 11月6日)。

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「初年度受け入れ4万人」はどうなったの?

山下貴司 法相
「精査中だ。見込み数を近日中に示したい」

日本経済新聞 電子版 11月7日

 5日の参院予算委員会では、どの程度の規模で外国人労働者を受け入れるかについて、山下貴司法相が「精査中」と語って具体的な数値を示さなかった。しかし、各省庁が試算した初年度の受け入れ人数は約4万人であることが新聞各紙で報道されていた。自民党の岸田文雄政調会長も4日のNHKの番組で4万人と発言している(産経ニュース 11月4日)。4万人という数字が確定したわけではないと言いたいのだろうか? 山下氏は1日の衆院予算委員会で「数値として上限を設けることは考えていない」とも答弁している。

 在留資格取得の要件も不明、どんな職種で募集するかも未確定、受け入れ人数も未確定。長妻昭・立憲民主党代表代行は「結局、一切何も分からないがらんどうで無責任な法案だ」と語気を強めた(西日本新聞 11月3日)。

山下貴司 法相 ©文藝春秋

安倍晋三 首相
「今度は出入国管理庁をつくって、体制を強化して対応をしていく。問題が起きないように、制度および運用の面で十分な取り組みを行うことが重要だと考える」

FNN PRIME 11月7日

 7日の参院予算委員会では、野党側から入管法改正案の制度設計が不十分だという指摘が相次いだ。共産党の小池晃書記局長は「外国人労働者の受け入れを拡大すれば、いっそう事態は深刻になって国際的批判を招くのではないか」と追及したが、安倍首相は出入国管理庁をつくって対応すると強調した。

 出入国管理庁が発足するのは来年4月の見込み。まずは入管法改正案を成立させるのが先で、受け入れ態勢はそれから整えると言っているのだ。