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ファッションで得られる“うまみ”はコンサバが最も大きい?――トミヤマユキコ×鈴木涼美

トミヤマユキコ×鈴木涼美 #1

note

女子高生はギャルが、女子大生はコンサバが“うまみ”を味わってた

トミヤマ 涼美さんの場合は、もちろん好きで着てはいるんだろうけど、ファッションの基本にはモテがあるんですか?

鈴木 いまはそうでもないですけど、高校生の時はギャルこそが最先端のイケてる人たちだと思ってたのに、ギャルブームも終焉を迎えて、大学に入ってみたら、明らかに得してるのが『CanCam』系の人たちで。でも私にもギャルの意地みたいなのはあったから、そのへんのパンピーと一緒にされたくはないなって。

トミヤマ かっこいい!

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鈴木 女子アナみたいなコンサバ系って、高校時代ダサかったくせに、大学入ったらそのダサさが功を奏して、いきなりモテはじめたタイプですよね。そこには迎合したくないので、髪だけはめっちゃ明るくしたり、爪にゴツいスカルプ付けたりしてました。

トミヤマ ギャルの鑑や。

 

鈴木 女子高生のときは、女子高生であることのうまみを一番味わってたのはギャルだったけど、女子大生のうまみを一番味わってるのはコンサバな女子大生ファッションの人たちだったんですよ。

トミヤマ ファッションで得られる“うまみ”かぁ~。考えたことなかったな。

鈴木 要は「おいしい思いしてる」ってことなんですけど。

 

トミヤマ  私はやっぱり、派手だろうが地味だろうが、本当に自分の好きな服を着て、その人らしさが見えているのが一番だと思う。

鈴木 それで言うと、白いTシャツとか無地のセーターにデニムを合わせただけで様になるような人が一番きれいだと私も思いますよ。でも日本のコンサバ服って、そういう自然体とは違う文脈にあるファッションで、ある種の型でありメッセージじゃないですか。「みんなに好かれたい」とか、アラサーになったら「婚活中」みたいな。

トミヤマ  女性誌の見出しにある「愛されファッション」の文脈ね。

鈴木 そうそう。愛されるアイテムを入れないと生きていけない人たち。そういうのって、女子にとっては生存本能というか、サバイバル戦略だと思うんです。特定の人たちに深く愛されるよりも、みんなにちょっとずつ愛されたい。『CanCam』の発信する「めちゃモテ」っていうキーワードは、大多数に嫌われないように、それこそ万人ウケを目指してる。

トミヤマ 本を読んでくれた、普段はコンサバ系ファッションの人から「私も変な服着たくなりました」っていう感想をいただいたんですね。そういう人はもしかしたら、別にモテたくてコンサバ服着てるんじゃないって思ったのかもしれない。ただ嫌われないためだけに、コンサバ服を着ていただけだと気づいたのかも。

鈴木 だって万人にモテたいと思ってないなら、コンサバ系の服とか着る必要ないもん。

トミヤマ  特にモテたいわけでもなく、単純にコンサバ服を上手に着こなしたいと思っている私が変なのか(笑)。この本をきっかけに、ファッションのことを私なりに考えたつもりでしたけど、正直コンサバ服にそこまでモテの問題が大きく絡んでるっていうのはまったく気が付かなかった。

コンサバ服を着ることで、周囲の反応がよくなった

鈴木 だから本の中でトミヤマさんが無難なコンサバファッションを学んでいくのを見て、モテたい欲が出てきたのか、もしくは性欲が高まってきたんだと思いました。それか、パパ活でもはじめようとしてるのか(笑)。

トミヤマ ないない(笑)。でもね、結果的に周囲の反応がよくなったのはたしかですね。コンサバ服を着ることで、なんかレディーとして扱われる時間が長くなったなって。

 

鈴木 そりゃあそうですよ。変な柄の奇抜なファッションの女より、無難なファッションのほうが女扱いされるに決まってる。

トミヤマ そのことに私は今さら気づいたんですよ。なるほど、それが結局は「モテ」に繋がっていくのか~。

鈴木 なんなら離婚して恋愛市場に出るのかなぐらいに思ってました(笑)。

トミヤマ  その点はどうかご心配なく(笑)。それにもし仮に離婚して再び恋愛市場に出ることがあったとしても、私は変な服を着て出ていくよ。そこを乗り越えてくる男しか相手にしない。そこは絶対に変わらないですね。

聞き手・構成=おぐらりゅうじ

40歳までにオシャレになりたい!

トミヤマ ユキコ(著)

扶桑社
2018年5月30日 発売

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写真=鈴木七絵/文藝春秋
#2に続く)

ファッションで得られる“うまみ”はコンサバが最も大きい?――トミヤマユキコ×鈴木涼美

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