1ページ目から読む
2/4ページ目

「4部構成」を覚えればほとんどの問題に適応できる

 小論文がイエス・ノーを書く文章であるならば、常にある「型」が使えます。これは「型にはめる」という意味ではなく、論理手順を覚えるのだと考えてください。つまり数学の証明問題と同じです。この型を身につけると、ほとんどすべての小論文問題に適応できます。

 それが、私の提唱する「4部構成」の記述法です。

©iStock.com

(1)イエス・ノーを示す。

ADVERTISEMENT

 課題文があるときは、それを簡単に要約して、それが正しいか、正しくないかを示す。提案型のときは、提案の内容をずばり書く。それ以外の場合は、自分で問題を設定し、それについての立場を書く。

 簡単な例を示してみましょう。たとえば、「憲法改正についてあなたの考えを書きなさい」と出題されたとします。これは先ほどのボランティアと同じで、自分で問題を設定しなくてはなりません。

〈安倍総理は近年、憲法改正、とりわけ9条の改正を主張し、議論を巻き起こしているが(問題の設定)、憲法第9条を改正するべきなのだろうか(イエス・ノーの提示)〉

(2)「たしかに・しかし」で受ける。

 問題を設定したら、次の段落で、「たしかに・しかし」を書きます。具体的には、「たしかに」のあとにあなたが(1)で示したイエス・ノーに対する反対意見を示し、それに一定の理解を示しつつも、「しかし」とつないで、やはりあなたの考えが正しいことを主張するのです。

たしかに、中国の海洋進出や北朝鮮の核開発のように、日本をとりまく安全保障環境は悪化してきた。防衛力の充実が求められる状況であることは間違いない(反対意見への理解)。しかし、防衛力の充実に9条の改正が必要かといえばそうではない(自分の考えを再び示す)〉

©iStock.com

(3)イエス・ノーの根拠を示す。

 この根拠を書く段落が腕の見せどころです。後で詳しく述べますが、『文藝春秋オピニオン 20××年の論点100』(以下『論点』)シリーズも、ここが使いどころです。

〈なぜなら、今の憲法の下でも、防衛力は十分に増強されてきたからである。海部政権は湾岸戦争後、ペルシャ湾に海上自衛隊の掃海艇を派遣した。小泉政権は同時多発テロの後、インド洋に護衛艦と給油艦を派遣、さらにイラク戦争後は、陸上自衛隊をイラクに派遣した。安倍政権によって、集団的自衛権も行使できるようになり、さらにはPKO活動中に他国の部隊を警護することもできるようになった。現在の憲法の下でも、これだけのことができるのである。かつて鳩山一郎政権で、敵のミサイル攻撃を防ぐために、敵の基地を先制攻撃することは合憲であるとの解釈も示されているから、専守防衛という枠組みで考えるなら、ほとんどすべてが可能になっているのだ。そのうえ9条を改正するというのは屋上屋を架すことに他ならず、周辺諸国に日本は再び軍事国家になるのでは、という警戒感を抱かせることになる〉

(4)結論を書く。

 最後にイエス・ノーを繰り返して終わります。

〈よって、憲法9条の改正に私は反対である〉