「電車で長時間立っているとひざが痛くなる」

「階段を降りるときにひざが痛い」

「親のひざが悪くて、自分もそうなるのではと心配」

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 読者の中に、そんな悩みを抱えている人もいるはずです。

「太りすぎ」がひざ痛の最大のリスク

 ひざ痛の最大のリスク要因は「太りすぎ」。それは、なんとなく想像できるでしょう。でも、「やせすぎ」もひざ痛の要因になりうることをご存知だったでしょうか。どうしてなのか。テレビでおなじみの整形外科医で、『100歳まで自分の力で歩ける「ひざ」のつくり方』(アルファポリス)を出版した戸田整形外科リウマチ科クリニック院長・戸田佳孝医師に話を聞きました。

戸田医師 

 まず、「太りすぎ」と「ひざ痛」の関係について。体重が重いと当然、ひざにかかる負担が多くなります。ひざに負担がかかり続けると軟骨がすり減り、半月板が割れてしまいます。その半月板の破片の一部が体の重みによって横に押し出され、神経が通う靭帯を圧迫することで、ひざの痛みが生じます。

 このような状態が続くと、半月板がこれ以上押し出されないよう、骨にトゲのような堤防ができ、ひざ関節が変形していきます。これを「変形性ひざ関節症」と言います。よくお年寄りでO脚になった人を見かけますが、あの姿が変形性ひざ関節症の進んだ状態なのです。

階段を降りる時、ひざには体重の5~6倍の負荷が

 とくに若い時から太り過ぎの人は要注意です。戸田医師が話します。

「米国のボストン大学の研究で、37歳のときに肥満だった人はそうでなかった人に比べて、2倍以上も変形性ひざ関節症になりやすいというデータがあります。ひざ痛は、若い時からひざに負担をかけ続けた蓄積の結果なのです」

 ひざにとくに負担がかかるのが、階段を降りるときです。平地を歩いているときには、片足が地面から離れる瞬間、片ひざに体重の2~3倍の負担がかかります。これが階段だと、さらに落下速度が加わるので、体重の5~6倍の重みがかかります。

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 つまり3キロ太ると、階段を降りるときに15~18キロもひざにかかる負担が増すのです。逆に言えば、3キロやせただけで、15~18キロも負担を減らせることになります。

「体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割ったBMI(体格指数)が25を超えるような肥満の人(身長が160センチの場合、体重が約65キロ以上)は、生活習慣病だけでなくひざ痛を予防するためにも、適正体重になるようダイエットを心がけましょう」(戸田医師)