あの大人気ゲームも元は「エロゲー」だった?
もしかすると、「エロゲー」という言葉を聞いただけで忌避感を覚える読者もいるかもしれない。しかし、それは早計である。アダルトコンテンツは社会と切り離せない存在なのだ。
スマートフォン向けゲームとして大人気の『Fate/Grand Order』をご存知だろうか。日本国内累計ダウンロード数が2800万を突破する大人気タイトルだが、原作はエロゲーである。
もっといえば、今や大企業となったゲーム会社もかつてはエロゲーを制作していた。エニックスや光栄(コーエー)は特に有名で、少し調べれば当時の話がいろいろと出てくるほどである。
また、かつてのエロゲーのなかには文学的な要素が評価された作品群も存在するし、そこからアダルト要素を抜いた一般向けのゲーム・アニメになったケースもある。DVDの普及にもアダルトコンテンツが重要だったとされるし、いまやPCゲーム最大手のプラットフォーム「Steam」でもエロゲーは販売されているのである。
エロ同人ゲームもまた、一般向けのインディーゲームのように進歩を続けている。いまやノベル形式のゲームよりRPGが一般的で、3Dグラフィックを活用した作品も登場している。
死にゲーなどの一般向けビデオゲームの大作から影響を受けた作品もあれば、『ライ麦畑でつかまえて』のJ・D・サリンジャーの短編からインスパイアされた作品もあり、「アダルト系インディーゲーム」として独自進化を遂げているのだ。
なお、DLsiteなどのプラットフォームでは男性向けアダルトコンテンツのみならず、女性向けのものやそれ以外の特殊な作品も存在している。結局のところ、性欲は人間にとってあっておかしくないものだし、アダルトコンテンツのなかにも文化が育つのである。
◆◆◆
とはいえ、実際に同人エロゲーを制作している人に聞かなければ、儲かっているかどうかなどの詳しい話はわからないものだろう。後編では、エロ同人ゲームを制作する大手サークルの代表に、匿名を条件に話を伺ったもようを紹介する。