楽天グループの創業者・三木谷浩史氏が「週刊文春」に連載し、大反響を呼んできた人気コラム「未来」が1冊になりました。
これまで、ツイッター買収で話題のイーロン・マスクとの秘話や、岸田首相らへの直談判、新規参入した球団経営の舞台裏など、幅広いテーマについてその思考を余すことなく明かしてきました。そこで今回の刊行を記念し、過去の連載で特に読者の反響が大きかったベストセレクションをお届けします。
イーロン・マスクとのカラオケで
僕がイーロン・マスクという起業家に初めて会ったのは、今から遡ること7年ほど前になる。
投資銀行を辞めてプライベートファンドをしていたアメリカ人の友人に、「俺のパートナー」だと紹介されたのがイーロンだった。
政府与党は課税強化を見直すべき 有能な人材が日本から出ていく
ビジネスを通じて経済に貢献した個人への懲罰的な課税という「社会主義的政策」にしか僕には見えないし、世界もそう感じているのではないか。リモートワークで海外からも企業の経営ができる時代。多くの有能な技術者、経営者が日本から出ていくことになるだろう。
「令和鎖国」をいつまで続ける気か
日本の厳しい入国制限などのコロナ対応は、まるで「令和鎖国」と呼びたくなるようなものだ――。今年に入ってオミクロン株の流行が拡大していく中で、僕はずっとそのような思いを抱き続けている。
BTS躍進の立役者が明かした「世界戦略」
「Rakuten OPTIMISM 2022」では、韓国の総合エンターテインメント企業・HYBEアメリカのユン・レンゾCEOとも対談させて頂いた。世界的に有名な韓国のアイドルグループBTSの結成にかかわり、彼らが今日の熱狂的な人気を勝ち得る過程で重要な役割を果たした人物だ。
「後継者」について
今年3月11日で、僕は57歳になった。楽天を創業してから25年余り。その歳月を振り返ってたまに思うのは、あの時代にインターネットで事業を興した同世代の起業家の多くが、すでに現役を退いているということだ。
忘れられない検査着姿の安倍さん
安倍さんとは生前、官邸での会議や時には食事の席でご一緒させて頂いた。中国、アメリカとの国際関係、世界のエネルギー政策、二世議員の在り方。多岐にわたるテーマを語りながら、「世の中ではこういうふうに言われてるけど、実はこうなんだよな。ハッハッハッ」と明かしてくれたり……安倍さんと話をするのは、本当に楽しかった。
1カ月前にイーロン・マスクと話したこと
ちょうどひと月くらい前のことだ。
シリコンバレーにあるテスラのオフィスで、久々にイーロン・マスクと再会した。前回面会したのは新型コロナウィルスの流行前だったと思うから、かれこれ3年ぶりということになるだろうか。
中国は怖い、でも、日本も…
中国でビジネスをしている知人が以前であれば、少し冗談めかして口にしていた言葉がある。
「あの国では『金』『地位』『名誉』の三つのうち、どれか二つを選ばなければならない」
でも、最近、この言葉をめったに聞かなくなった。
僕が楽天を創業した24年前と今とを比べても、日本社会はまだまだ「ベンチャー」に対して「怪しげなもの」というイメージがあるのではないだろうか。その裏返しとして多くの人が抱いているのが、「大企業はしっかりしていて何となく安心」という感覚だろう。
source : 週刊文春