2018年、平成最後の今年の漢字は「災」。スポーツ界のパワハラ問題、財務省決裁文書改ざんなどは「おじさん」の存在抜きに語れません。山根会長、サイバー担当桜田大臣、「いくら何でも」太田理財局長、紀州のドン・ファン、高嶋政宏、前澤友作、ゴーンさん……。今年世間を騒がせたおじさんを一気に振り返ります。「年末座談会 2018年おじさん大賞」後編で、大賞の発表です!

左から、プチ鹿島さん、大嶋奈都子さん、鈴木涼美さん、おぐらりゅうじさん

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『USA』とハズキルーペの共通点

おぐら ここ何年かの傾向として、ファッションや音楽を中心に、80年代や90年代の風俗が注目を集めていますよね。ただし、需要のされ方は一律ではなく、年長者にとってはノスタルジーで、若い世代にとっては逆に“新しい”ものとして、その両者が渾然一体となって盛り上げている。なかでも象徴的だったのがDA PUMPの『USA』です。

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鈴木 もうDA PUMPもおじさんですか(笑)。

おぐら もはやダサいとか言ってる場合ではなく、直情的に訴えてくるものが勝つ。そういう意味では、ハズキルーペのCMが、夜のお店でも幼稚園でも真似されているのは、同じような受容のされ方だなと思います。

鹿島 あれ、実際に同社の会長が制作総指揮というか、全面的にプロデュースをしているんですよね。

おぐら 広告のプロたちが必死にマーケティングしたり、CMクリエイターがクライアントの要望と自意識の間で格闘しているのを尻目に、一企業の会長による独断で作られた、業界人にとっては「最悪のケース」とも言えるCMが一人勝ちをした。日常的に最先端の広告表現のあり方を模索している人からは、あの「ハズキルーペ、すごい」「ハズキルーぺ、大好き」の決め台詞は出てこないですよ。

(右から)おぐらりゅうじさん、鈴木涼美さん

鈴木 政権のCMとも似ていますよね。

鹿島 ベタという意味では、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットとも似ているかも、と思うんですよ。クイーンのことは、やっぱり誰でも何となく知っている。詳しい人に聞くと時系列の描き方がどうなんだという声もあるらしいですけど、スタイリッシュな笑いより、劇場でしっかり笑いを取ることができる「ベタ」の強みってありますよね。 

忘年会で『USA』を踊るなら、ストレッチと水分補給を

おぐら 『USA』の歌詞やダンスにしても、たとえば欅坂46のように歌詞の世界観と振り付けを絶妙にリンクさせた複雑なフォーメーションに比べると、極めてシンプルな構成になっています。

鹿島 おじさんを安心させますよね。面白かったのは、まさに昨日(12月17日)の夕刊フジが忘年会で『USA』をおじさんが踊ると、アキレス腱を切る恐れがあるから、必ずストレッチと水分補給をしろっていう記事を書いていました(笑)。やっぱりオヤジジャーナルならではのアドバイスを、おじさんに送っているんですよ。素晴らしいです。

「選考委員長」のプチ鹿島さん

おぐら その反対で、子供たちがハズキルーペのCMを真似して普通のメガネをお尻で踏んづけて親に怒られたりもしていますね。

鹿島 うちの4歳の娘にも、ハズキルーペとDA PUMPはしっかり届いていますね。