大手コンビニエンスストアのファミリーマートが「こども食堂」を全国で手掛けるとかで、これはこれで素晴らしいなと思います。

「ファミマこども食堂」を全国で展開
http://www.family.co.jp/company/news_releases/2019/20190201_99.html

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クリスマスケーキや恵方巻を死ぬほど余らせるよりは

 地域と企業がしっかりと手を組んでより良い社会を作っていこうという、CSR活動(企業の社会的責任をどう果たすか)としても企業のマーケティングとしても非常に良い方法なんじゃないかと思うんですよ。少なくともクリスマスケーキや恵方巻を死ぬほど余らせて半額セールにぶち込むよりは画期的ですし、素晴らしいことなんじゃないかと感じるんですよね、企業が賞味期限切れの弁当を大量に余らせて捨てている傍らアフリカでは栄養状態の悪い子どもが毎分何人も亡くなっているんですよ。

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 我が国でも、親の経済事情であまりきちんと食事ができない子どもがいたり、経済事情とは関係なく地域と家庭、子どもが一緒に何かをできる場自体が少なかったりして、まあなかなか大変だ。そういうときに、ファミリーマートみたいな企業が善意で名乗り出てくれるというのは非常にありがたいことです。ファミリーマートの代表取締役の澤田貴司さんは、前職のリヴァンプという投資会社時代にも教育支援や児童養護施設などへの寄付その他の活動に積極的で、本件「こども食堂」も企業の利益活動的な思いつきで手掛けたものではないことが良く分かります。

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ネットではすでに左翼対右翼の戦いみたいな騒動に

 ふろむださんも書いておられますが、企業による慈善活動というのはなかなか見せ方がむつかしいので、さっそく藤田孝典さんがファミリーマートに批判的なニュース記事を上げ、また、Twitterで酷評していました。

「善人として尊敬されたいから非営利活動をやってる人」の気持ちを、非営利活動をする企業は尊重した方がいい|ふろむだ@分裂勘違い君劇場 @fromdusktildawn|note(ノート)
https://note.mu/fromdusktildawn/n/n4923fc249300

ファミマ子ども食堂への3つの懸念と意見(藤田孝典) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20190203-00113525/

 言い方は悪いですが「俺たち左翼が先にやっていた『子ども食堂』を後から企業が乗っかりに来るな」という受け取り方をする人が続出して、企業と社会的活動の在り方とは何かを論じる前に、ネットではすでに左翼対右翼の戦いみたいな騒動になってしまいました。個人的にはそういうイデオロギーを抜きにして、必要な人に必要な支援を行える仕組みができることのほうが大事だと思うんですけどね。可哀想なファミリーマート。

 しかし、藤田さんの意見にも傾聴に値する部分は多いのです。人々が善意をもって子どもを迎え、ぬくもりが感じられる場として「子ども食堂」を考えていく必要があるんだと彼は説くわけですけど、あまりきちんと食べられない環境にあることは子どもの責任ではない以上、社会がどこかで包摂してやる必要があります。