昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/02/09

まとっているものを取り去って、自分の扉を開け放った ――高尾美有 

「フェミニンだったりカッコよかったり、いろんな方向性のファッションが満載でスタイリッシュに仕上がっているので、ぜひ女性の方にもたくさん手にとっていただきたいんです。下着姿なんかも上品で女性らしいものばかりですし」 

高尾美有さん

 と話すのは、高尾美有さん。「私の場合、スタンダードな表情が笑顔なんです」とみずから言うほど、日ごろから笑っていることが多いのだけれど、写真集のなかでは、シリアスな顔も見せている。 

「一冊のなかに、喜怒哀楽をできるかぎり詰め込む。それが自分に課したテーマでした。生身の一個の人間であることをさらけ出してしまおうと思ったんです。それで、泣くシーンもやってみることになったんですけど、いちど涙を出したらもう止まらなくなってしまって。たいへんでしたけど、その一連の写真は本にもしっかり収録されることになったのでよかったです。 

 すべてを晒すという意味では、自分のなかであれこれ悩み迷った末に、ヌードになったこともいい結果につながったと思います。まとっているものを取り去ると、自分の扉を開け放ったような気分になって、すべてを解放できるものだと知りました」 

高尾美有さん

 写真には写る人の生き方が滲み出るもの。撮影時に言われた篠山さんの言葉が、出来上がった写真集を手にすると実感できるという。 

「育ってきた環境、これまで経験してきたことのすべてが私の顔や身体には蓄積されていて、それが本当にはっきりと写真には出るものなんですね。被写体になるって、奥が深いです。これからもっと追求していきたい。被写体としての自分を掘り進めていくと、きっと自分らしさの正体みたいなものが見えてくる気がします。 

 すべて写真に出てしまうと知ったからには、これから一日ずつ細心の注意を払って、ちゃんと生きなければ。気が引き締まりますよ」 

高尾美有さん

 このたび刊行された4冊は「篠山紀信写真集」として世に流通し、著者の欄には篠山紀信の名が付されるが、彼女たちの覚悟と意気込みを知れば、3人の被写体の名も著者として名前を連ねていいと思えてくる。 

この記事の写真(21枚)

+全表示