「JRさんの取り組みが、水産業の未来にもつながる」
と、こうして各地で順調に養殖・出荷を進めているJR西日本。今シーズンからは、新たにとらふぐの養殖にも取り組んでいる。そのとらふぐは、「大吟雅とらふく」の名で今冬から日本橋の三越本店などで店頭に並んでいる。では、肝心の味のほうがどうなのか。とらふぐも扱っている吉川水産のバイヤー廣田憲司さんは、「想像以上に良かった」という。
「陸上養殖というと、数年前まではもっと水っぽいイメージでした。でも、このふぐはそれがない。あとは安定して供給できるというのは大きな魅力ですね。価格面を抑えることができますし。JRさんがこういう取り組みをしてくれることで、水産業の未来にもつながるのではないかと思います」
そして、JR西日本の石川サブリーダーの言葉。
「安全安心はもちろん、味の方もこれからどんどん追求していかないと。そしてもっと広く流通して知ってもらえるように努力します。地域を元気にする手助けをして、それで雇用が生まれて。うちの魚を食べた人が『現地に行って食べてみたい』と思ってもらえても嬉しいですね。そういう変化が出てくれば、鉄道事業にとってもプラスになるはずです」
気の遠い話だし、まだ技術が確立したばかりの陸上養殖へのチャレンジ。莫大な利益を生み出すような、大規模な事業でもない。しかし、そうしたところにも地道に取り組んでいくことは、鉄道という“公共インフラ”を支えている鉄道会社に与えられた責務のひとつ、というわけだ。
……ときれいにまとまったところで、やっぱりダジャレのネーミングは大いに気になるところ。JR西日本さん、『AERA』顔負けのダジャレセンスをこれからはもっといろんなところで披露してくれませんか?
写真=鼠入昌史