Jリーグで通用していなくても海外で通用することもある
――昨シーズンは、アジア・チャンピオンズリーグにクラブ・ワールドカップ、U−19アジア選手権と、国際試合を数多く経験したシーズンでもありました。ペルセポリス(イラン)やグアダラハラ(メキシコ)、レアル・マドリー(スペイン)、リーベル・プレート(アルゼンチン)といったアジアや世界のトップレベルのチームに自分の力をぶつけて、どんなことを感じました?
「クラブ・ワールドカップを経験して思ったのは、僕個人のことで言うと、相性が良いなっていうこと」
――どういう点で、ですか?
「僕はボールにたくさん触るタイプで、クイックネスがあるほうだと思うんです。海外の相手は、そうした選手を嫌がっている。それはクラブ・ワールドカップに限らず、アンダーの代表のときも、ACLを戦っているときも感じていたことで。だから自分は、外国のチームとの対戦にすごく向いているんじゃないかって」
――それと似たようなことを、中島翔哉選手(アル・ドゥハイル)も言っていました。彼も小柄でクイックネスがありますから。
「Jリーグで通用しているからと言って海外で通用するわけではないですし、逆に、Jリーグで通用していなくても海外で通用することもある。僕の場合、海外での相性は良さそうなので、だからこそ、Jリーグでもレベルの違いを見せつけられたら、海外に行ったとき、もっとやりやすいんじゃないかなと思います」
あのプレーは鹿島にいなかったら、できなかった
――クラブ・ワールドカップの準々決勝のグアダラハラ戦では、終了間際にミドルシュートを突き刺しました。緩やかな弧を描いた美しいゴールでしたが、それと同じくらい印象に残っているのが、その直前に安部選手がセンターサークル内で相手をファウルで止めたシーン。軽率なファウルではなくて、小笠原満男さんのスピリッツが感じられるようなファウルというか。19歳の選手が、それをしれっとやるんだなと。
「ACLの決勝(ペルセポリスとの第1戦)でもあったんですけど、それが人生初の意図的なファウルで、そのときは自分でも驚きましたね。こういう選択肢を持てるようになったんだって。ファウルで止めるのは確かに見栄えが良くないですけど、勝ちにこだわるためには、ときに必要なことだと僕は理解しています。たぶん、あのプレーは、このチームにいなかったら、できなかったと思います」
――このチームには勝利にこだわってプレーする選手たちがそれだけ多くいて、彼らから学んできたと?
「そうですね。このチームはたくさんのタイトルを獲ってきましたし、タイトルの獲り方が身体に染み込んでいる先輩たちがたくさんいる。そうした先輩やスタッフの方々の考えを聞けるのはすごく貴重ですし、彼らと一緒に練習するだけで、そばにいるだけで自然と自分もレベルアップできるというか。ただ、鹿島に入った選手すべてが偉大な選手になれるわけではないし、先輩たちも口で一から教えてくれるわけではない。背中で見せてくれているので、自分がどう感じ、どうするかが大事だと思っています」